「きょう、かげおくりをして遊んだよ。」
学校から帰ってくるなり、楽しそうにはなしてくれました。
「今日の空、青かったから、きれいにかげぼうしが写ったよ。」
9月の秋の気配が感じてきたころのことでした。
『かげおくり』とは、かげぼうしを10数える間、じっと見つめ、
数え終えたらすぐ空を見上げると、かげぼうしが、そっくり空に移るという遊びです。
私は、そんな遊びを知りませんでしたが、
ちいちゃんのおとうさんが教えてくれました。
ものがたりは、ちいちゃんの一家が戦争にまきこまれ、
「かげおくり」をしながら、空にいってしまった女の子のはなしです。
空襲で、家族を失ってしまったちいちゃん。
ひとりぼっちで、空腹に耐え、生きようとした、ちいさな女の子。
涙がとまりませんでした。
悲しいはなしです。
自分から、すすんで子どもに読み聞かせできませんでしたが、
小学3年生の教科書に掲載されていて、よく、音読していました。
自分からは難しかったけど、学校で、少しでもこのおはなしに
ふれることができて良かったと思います。
夏休み、改めて絵本を読んだ娘。
今日のことがきっかけで、娘の中にも、戦争がどんなものかを少しでも
感じてくれて、
心の引き出しにこの絵本が置かれていたらいいなと思いました。