一匹のおたまじゃくしがかえるになりました。ぎーこ、ぎーこと鳴く大きなかえるに出会い、「こんにちは。あなたはだれ?」を声を掛けます。しかし、「わしはつちがえるのギーコだ。あんたは?」と聞き返され、困ってしまいました。かえるは自分の名前を知りませんでした。「さよなら!」と言ってぴょんと飛んだかえるは、「あ。ぼく、ピョンだ。きっとぼく、つちがえるのピョンだ」とうれしくなりました。ところが、しばらくすると体の模様が変わってきて…。
実写と見間違えるほどの精巧な挿し絵と、起承転結のしっかりしたストーリー展開。小学1年生のわが家の双子(男女)は、次々出てくるさまざまなかえるに大喜び。終盤、かえるの目から見たさぎの大きさにも迫力があります(この場面、空もどんより暗くて聞き手にさらなる不安感を与えます)。
小さなかえるの、仲間探しの旅。まだら模様になったり土色になったり、どんどん変化する自分の体に戸惑いつつも、最後に出会ったのは…。名前があるということ、仲間がいるということ、当たり前と思っていたことだけに、ピョンの経験を通して「いま自分がこうして生きていること」の幸せを改めてかみしめました。…テーマは少し違うかもしれませんが、「ねこのなまえ」「こすずめのぼうけん」を思い出しました。
かえる好きのお子さんにはもちろん、そうでないお子さんにも、そして大人にもオススメできる、すごい絵本です。一度読んでみて!