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はじめてのクリスマス

はじめてのクリスマス(偕成社)

人気コンビがおくる、新作クリスマス絵本

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どうぶつのわかっていること・わかっていないこと

どうぶつのわかっていること・わかっていないこと(小学館集英社プロダクション)

「答えのない問いに向き合う力」をはぐくむ新感覚の絵本

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crocus

その他の方・40代・その他

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crocusさんの声

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なかなかよいと思う あなたの「壁」は誰ですか?  投稿日:2016/07/03
ウォールズ
ウォールズ 著: ありま 三なこ
出版社: 扶桑社
「壁」とは私にとって、いったい何だったのだろう。

生まれた時から、当たり前のようにそこにあって
風や雨や、恐いものから守ってくれた。
幼い頃はボールをぶつけたり、よじ登って遊んだけれど
物心がついたら少しジャマになった。
他の壁がうらやましくなって
見向きもせずに散々ほったらかしにして
しまいには汚い言葉を吐き散らした。
あんなに支えてくれたのに
いつも見守ってくれていたのに
お礼を言おうと思ったら姿がなくなっていた。
失って初めて気がつく、ありがたさ、淋しさ、後悔、愛。

私にとってその「壁」は、
4ヶ月前に他界した父だった。

「そっとささえてくれた
なにもいわずに ずっと そばに いてくれた」

壁の前で会話が始まる時、
読者はきっと誰かの顔を思い浮かべる。

「もくひょうだったんだ」
「いのちのおんじん」
「あなを つくってしまったんだ」

登場するキャラクターが思い出を語るたび、
読者の心にも喜怒哀楽が蘇る。

「みんなと あわせてくれて ありがとう」

私は、同じ言葉を亡き父に伝えていた。
父のために集まってくれた人々、
父が亡くなってから出会った人々、
父がいたから出会えた人がいる。

「さいごに おわかれと 
ありがとうの ハグをしよう」

それぞれの思いで「壁」とお別れをする。
それは、人なのか、物なのか、思い出なのか。
「壁」との別れは、過去の自分との別れだ。

「かべが とりになって 
おおぞらへ はばたいていきました」

「さようなら」

お別れのはずなのに、清々しい。
前向きな気持ちが感じられる。
私もまた、少しずつ歩んでいく勇気をもらえた。

ただひとつ、
結末の見開きの「記念撮影」は興ざめだった。

「壁」とお別れをして、各々の道を歩んでいく、
そこにはもう心の絆があるはずなのに、
なぜ写真を撮るのだろう。

「壁」という形のあるモノが、
鳥となって羽ばたいて消えていったのに、
なぜ写真というモノを残すのだろう。

消えた「壁」の向こう側には、
一面の草原が描かれていたけれど、
この風景は読者の想像力に任せて欲しかった。
壁の向こう側には、皆それぞれの思いがあるはずだから。

全体として、絵のアンニュイな雰囲気は、
静かに流れる物語と合っている。
ただし、理由のない形や表情のキャラクターが、
詩的なストーリーの妨げになっている。
抽象的なレベルまで昇華させた挿絵の方が、
より深みのある作品になるかもしれない。

「壁」のように姿が消えても、
心に残る一冊。
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自信を持っておすすめしたい またコローロに会いたくなる  投稿日:2016/06/19
FEELINGS(フィーリングス) きもち・かんじの えほん
FEELINGS(フィーリングス) きもち・かんじの えほん 制作: コローロ
出版社: 赤ちゃんとママ社
あたたかいピンク色に、真っ赤なハートの表紙。
白ゾウのコローロの、あどけないスマイル。
飾っておくだけで幸せな気持ちになれる本です。

シンプルに抽象化されたキャラクターと、
単純明快な色彩が、心地よく目に飛び込んできます。
北欧スタイルのような洗練されたデザインに、
ページをめくる手も自ずと軽やかになります。

目の覚めるような黄色がまぶしい1ページ目、
「すっぱ〜ぃ」の表情に、こちらまで酸っぱくなり、
あとは次々にコローロの表情に引き込まれます。
こわがっている顔、
よろこんでいる顔
くさがっている顔…
思わずクスクスと笑いが溢れます。
お風呂では、大人と子どもの違いも見られます。
じっくり温まって幸せそうなお父さんと、
何かをして遊びたい表情のコローロ。
ほのぼのとする親子の日常風景に心が和みます。

音符や花びらの形など、シンボルも可愛らしく、
開くたびに新しい発見ができそうです。


強いてリクエストを書くとすれば、以下の3点でしょうか。

1.全見開きの左が白、右がカラーというデザインでしたが、
変化をもたせても面白いかと思いました。

2.黄系や赤系の配色が多かったので、
黄緑や水色や紫など、様々な色相を用いたら、
よりカラフルで楽しい本になるのではないかと思いました。

3.全体を通して、ひとつの物語があれば、
感情移入がしやすくなると思いました。
例えば、雪の日の「ぶるぶる さむ〜い」(pp.16-17)から、
お風呂の「ぷはぁ〜 あったか〜い」(pp.18-19)は、
寒暖の差があって好きな流れです。


最後に、この本の一番の魅力は、
素朴に暮らすコローロとその家族に、
また会いたくなるというところだと思います。
本棚にあると、何度も手にとりたくなる本、
いつまでも大切にそばに置いておきたい本です。
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なかなかよいと思う ほのぼのトリオに心が温まる  投稿日:2016/06/19
まくらのせんにん そこのあなたの巻
まくらのせんにん そこのあなたの巻 作: かがくい ひろし
出版社: 佼成出版社
まくらのせんにんさまと、ふたりのお供、
しきぶとんの「しきさん」と、かけぶとんの「かけさん」。
フワフワの可愛らしいキャラクターに癒されます。
クレパスで描いたような、ほのぼのとしたタッチの絵、
キャラクターたちの表情や仕草に微笑んでしまいます。

ひとだすけのお話、と設定はシンプルなのですが、
絵本で遊ばせる仕掛けが秀逸!
キャラクターたちが、
「そこの あなた。」
と読み手に声をかけてくるのです。

読み手は、困っているキャラクターたちを助けるために、
本を逆さまにしてあげたり、トントン叩いてあげたり、
その手助けによって「ひとだすけ」が成功!
最後には皆にお礼を言ってもらえます。

本棚にあると、あの中のみんな、どうしてるかな?と、
思わず開いてみたくなる本。
そしてシリーズの別の作品も探してみたくなる本。
この後、『まくらのせんにん さんぽみちの巻』も読みました。
相変わらずの、ほのぼの三人組に心が温まりました。
参考になりました。 0人

なかなかよいと思う 昔ながらの商店街や三世代家族の温もりを感じられる  投稿日:2016/06/19
なぞなぞのみせ
なぞなぞのみせ 作: 石津 ちひろ
絵: なかざわ くみこ

出版社: 偕成社
音読するのが楽しくなるリズミカルな、なぞなぞ。
考えた答えを一生懸命探したくなる細やかなイラスト。
一つの見開きで二回遊べるようになっています。
なぞなぞの答えが分からない時は、
イラストをヒントにして考えるのも楽しいです。

『なぞなぞのみせ』というタイトルから、
なぞなぞがテーマごとに並んでいるだけかと思いきや、
「おばあちゃんと孫娘のお買い物」という、
微笑ましい物語がありました。
「おばあちゃん、ここには何の用事だろうね?」とか、
「女の子、このお店では何を買うのかな?」と、
読み聞かせながら子供との会話も弾みます。
「○○ちゃんだったら何を買う?」
と聞いてみるのも良いかもしれません。

色鮮やかに賑わう商店街の風景も、
昭和生まれの私にとってはとても懐しく、
自分の「おばあちゃんとのお買い物」を思い出しました。
ほのぼのとした昼下がり。
お洒落なおばあちゃんのための洋品店、
お姫様のような気持ちになれる洋菓子店、
おばあちゃんと甘いりんごを食べた八百屋さん、
時計店、本屋さん、花屋さん…
それぞれのお店の匂いまで蘇ってくるようです。
そして買ったものを「お披露目」する家族団欒の時間。
散らかった茶の間の6人家族に、心が和みます。

昔ながらの商店街や家族の温もりを感じられる本。
大型ショッピングモールだけではなく、
今度あのお店に行ってみたいな、と身近な商店街に、
子供が興味を持つきっかけになるかもしれません。








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なかなかよいと思う 無垢な気持ちを思い出させてくる  投稿日:2016/06/13
おこだでませんように
おこだでませんように 作: くすのき しげのり
絵: 石井 聖岳

出版社: 小学館
おこられても、自分の感情を口にしない男の子。
その心の声を読者だけが「聞く」ことになるので、
いつの間にか男の子を応援してしまいます。

給食を大盛りにしてあげたのも、
お友達に虫を見せてあげようとしたのも、
悪気はないことがその表情でわかります。

そして七夕。
たった一枚の短冊をフォーカスするという、
大胆かつシンプルなストーリー。
一生懸命な文字が、心に飛び込んできます。

悲しみの底にいる前半の男の子とは対照的に、
後半では母親と先生の愛情がそそがれ、
幸せいっぱいの笑顔が描かれています。

大人にとっては「わるいこと」でも、
どうしてこういうことをしたのか?
そこには無垢な気持ちがあります。
ついつい子供を叱ってしまう親や先生にとって、
示唆に富む一冊だと思います。

石井聖岳さんの軽妙なイラストもまた、
懐しい感じのする水彩画タッチで味わい深いです。
男の子の感情が巧みに描かれています。
参考になりました。 2人

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