「ぼくは いつも おこられる。」 妹を泣かせて怒られて、女の子を驚かせて怒られて、友達に先に手を出して怒られて・・・。 お母さんや先生にいつも大目玉をくらっているこんな男の子、いるいる。 ついつい「何で怒られるような事ばかりするんだろう?」、「どうして何も言わないの?」 なんて思ってしまう事も。 でも、この絵本を読んではっとさせられたのです。こんな風に思っていたなんて。 怒られても言い返さない訳が、おかあさんや先生の笑顔が見たいからだなんて・・・。 悔しさをぐっとこらえる横顔が途端にたくましく、愛おしく見えてくるのです。 感情のコントロールが下手な子、ついつい怒ってしまうおかあさん、男の子が理解できない女の子の為に。 子ども達の気持ちを代弁してくれるこんな絵本の大切さを痛感します。 最後に素直に喜ぶ「ぼく」の姿をみて思うのは・・・男の子ってやっぱり可愛い、という結論!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
怒られてばかりいる子の心の中を描いた絵本
「ぼくは、いつでもおこられる。家でも学校でも…。休み時間に、友だちがなかまはずれにするからなぐったら、先生にしかられた」いつも誤解されて損ばかりしている少年が、七夕さまの短冊に書いた願いごとは…?
【作者のくすのき しげのりさんよりコメントいただきました!】 『おこだでませんように』について お母さんや先生や友だちに言うのではなく、七夕様のお願いの短冊に、一文字一文字けんめいに書いた「おこだでませんように」。このお話の「ぼく」にとって、それは、まさに天に向けての祈りの言葉なのです。子どもたち一人一人に、その時々で揺れ動く心があります。そして、どの子の心の中にも、祈りのような思いがあるのです。私は、そんな子どもたちの心の動きや祈りのような思いに気づくことができる大人でありたいと思います。
この本の感動は、もう多くの方に書き尽くされていますが、
主人公である男の子にも、先生にも、そして
おそらく、たった一人で懸命に二人の子育てをしているお母さんにも
等しく、優しく暖かいまなざしが注がれているところが
何よりも素晴らしいのです。
子育てに正解などありません。
迷ったり、失敗したりしながらも、
いつでも、何度でもやり直すことができるはず。
そう、信じたいと思いました。
「どうしてこの子、おこだでませんように、って書いたんだろう」
と、不思議そうな息子が、
「あ、でも、ここには、おこられませんように、ってちゃんと書いてあるよ」
最後のページ、家で妹と共に、お母さんに抱き締められている男の子のそばには、小さな笹と短冊が3つ。
先生かお母さんに、正しい書き方を教えてもらって、書き直したのでしょうか。
きっと、優しく教えてもらったに違いありません。
その字を見ると、胸がつまる思いでした。
息子は、この本を読んだ後、しばらく考え込んでいましたが、自分でも短冊を書く、と言い出しました。
去年までは「ピアノがほしい」とか「アンパンマンになりたい」だったのですが、今日書いたものを見ると、こう書いてありました。
「まいにち なかないで ようちえんにいけますように」 (けいぼんさん 40代・ママ 男の子4歳)
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