ふと出会ったのは魔法のような時間『ダーラナのひ』 【NEXTプラチナブック】
![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
長い道を、海を見ながらひとり歩いてきたダーラナ。押し寄せる波がささやく「ダーラナ ダーラナ なみうちぎわに きてごらん」という声に誘われて砂浜におりていきます。すると沈みそうな夕陽がささやくのです。「ダーラナ ダーラナ すこしやすんでごらん」と……。
夕陽はもう海に落ちそう。あたりが真っ暗闇になる寸前、ダーラナが集めた小枝に火がつきます。燃えあがったばかりのたよりない火、ゆらゆら揺れながらどんどん大きくなる火。そして、夜中、燃え尽きそうになる火……。
濃紺の闇の中、さまざまに表情を変えながら、赤・黄・白・ピンク色に燃え上がる焚き火は美しく、いつまでも眺めていたくなります。
作者は、『ぼくとたいようのふね』(BL出版)や植田真さんとコンビを組んだ『とおいまちのこと』『みなとまちから』(共に、佼成出版社)など、幻想的な絵本を次々と世に送り出しているnakabanさん。どちらかと言うと大勢で読むよりも、ひとりかふたりで大切に味わいたくなる絵本作品です。
焚き火のそばでしばし寛ぎ、また次の場所へ旅をするダーラナ。記憶の底から、懐かしいぬくもりが蘇ってくるような気がするのはなぜでしょう。 今、物事が複雑すぎてちょっぴり疲れてしまっている、子どもや大人たちにおすすめ。夜は、ぜひ部屋を暗くして、絵本を読む手元だけを照らしてみてください。……まるで「ダーラナの火」が手元で燃えているようです。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
ダーラナは旅のとちゅう、浜辺にたどりつきました。 「ダーラナ ダーラナ わたしたちを あつめてごらん」 「たきびをして あたたまっていきなさい」 ささやき声にみちびかれ、ダーラナは枝をあつめて火をつけようとしますが、マッチがなかなか見つかりません。すると、夕日の最後のひとかけがはじけて、枝のこやまに飛び込みました。ちいさな火は、だんだんと大きくなって、ダーラナをあたためます。 やがて、夜も深くなってきました。火を見つめるダーラナがおもいだしたのは……。
旅のとちゅうでふと出会う、魔法のような時間。 おもわずじっとみつめてしまう、焚き火の絵本です。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
表紙絵の、無垢な瞳が印象的です。
静かな焚火の時間を描いた作品です。
海沿いの道を歩いていたダーラナは、波や夕日などの声に導かれ、
波打ち際で焚火をするのです。
波や夕日の様子が独特の色彩で描かれ、その不思議な世界観を演出しています。
焚火って、太古の昔から続く、何か不思議な存在感です。
五感が研ぎ澄まされます。
遠い記憶も。
大地からのエネルギーをチャージしたような心持ちです。
小学校高学年くらいからでしょうか。 (レイラさん 50代・ママ )
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