![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
男の子が本屋の絵本コーナーの前を通りすぎようとしたら、一冊の絵本が目にとまり、思わず足をとめ、手にとってみる。そこに描かれているのは、真っ黒な穴。
「わー!」
穴がとつぜん広がり、気がつけば、男の子は一枚の絵の上に。いったいここはどこ? 絵の具や紙に促されるまま紙の上を進んでいくと、見たことのない機械に囲まれた広い空間に。
「おもしろそう。こんなの児童館にも公園にもなかったぞ」
そこにあるのは、大きなロールに赤、青、黄のインクの桶。ぐるぐる混ぜて塗りつける。カラフルになった紙をたたみこんで糸をくくり、切って落として糊つけて。出来上がっていくのは、もしかして……「このほん」?
独特な視点と鮮やかな色彩。この体験したことのない不思議な空間で味わえるのは、「本づくりの冒険ものがたり」。作者はこれまでに700冊を越える本の表紙を描いてきたイラストレーター影山徹さん。読んでいるうちに迷子になっていくのは、読者も同じ。今までとまったく違う絵本の味わいかた! 読み終われば、さらに「このほん」のことが知りたくなってくるのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
ひとりの男の子が、お気に入りの書店さんにやってきました。
なぜお気に入りかって? もちろん! この本屋さんには子どもの本がたくさんおいてあるからです。男の子は、いつものようにウキウキしながら児童書売り場を歩いています。今日は「読みもの」だ! そんな気持ちでした。
ですから絵本のコーナーはひとまず素通り… …と思ったのですが、おや、新刊でしょうか、平積みにされた「ある絵本」が目にとまりました。ロングセラー絵本にかこまれていますが、男の子はその本のことがとっても気になります。なぜか前見返しが開いたままです。そしてそこには大きな黒い穴が。 あれ、なんだろうこの絵本。男の子はたまらずその本を手にとってみました。と、その瞬間! 「わー!」 その絵本はとつぜん「ぐいーん」と大きく広がって、なんと男の子を飲みこんでしまいました。た、たいへん! いったい男の子はどこへいってしまったのでしょうか……。
これまでに700冊を越える本の表紙を描いてきたイラストレーター影山徹による本づくりの冒険ものがたりです。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
もしこの絵本の読み聞かせをするなら、
できれば印刷会社の人からしてもらうのがいかもしれない。
何故なら、かげやまとおるさんが描いた絵本『このほん』は
一冊の絵本ができるまでの工程でできているのだから。
作者のかげやまさんは書籍の挿画とかを書いているイラストレーターですが、
最初に働いたのは印刷会社だということで、
一冊の本ができる工程についてはやっぱりよく知っているはずで、
そういう人の説明を聞きながら、この絵本を読むとうんと楽しくなりそう。
そう、例えば印刷会社に社会科見学なんかに行った時に、
この絵本を開きながら説明を聞くとか。
ある日、男の子が本屋さんの平台で表紙が開いている絵本を見つけます。
何だろう?ってのぞきこんだ途端に、男の子は絵本の世界にはいってしまうという、
この絵本はファンタジーです。
男の子がたどりついたのは、
たくさんの色でいっぱいのカラフルな世界。
そのうちに大きなマシンが動き出し、
ここはどんな世界だろうって思うにちがいない。
大きな紙がたたまれたり、裁断されたり、押し付けられたり、
ようやく気がつくはず。
ここは本をつくっている世界だって。
とってもきれいなそんな世界をのぞいてしまえば、
本を大切にしないといけないなと思えるようになっているはずです。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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