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てんぐちゃんがきた日から、おばあさんの見る夢に不思議なことがおこりました。老いの中に流れる時間の豊かさを描いた傑作絵本。
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宇野さんの絵本には、おばあさんの思い出話がいくつかあります。
宇野さんの描くおばあさんの思い出は、おばあさんがかつては乙女であったことを、そしてとてもロマンチストで艶やかであったことを感じさせます。
百歳になろうとするおばあさんが、花咲き乱れる道や、満天の星を見上げる道を歩く、ロマンチックな夢を表現したかと思うと、恋人との思い出、印象に残っているメリーゴーランドの馬で揺られる、うっとりする世界を描いてくれました。
メリーゴーランドのシーンの馬の荒々しくて男性的で、鼻息が聞こえるほど印象的です。おばあさんが久しく忘れていた夢を見させてくれた「てんぐちゃん」。
おばあさん、ヨカッタネ。
でも、「てんぐちゃん」って誰?
これは、読む人の楽しみに残しておきたいと思います。 (ヒラP21さん 50代・パパ )
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