ルラルさんは、ときどき庭でつりざおをふっています。もちろん、魚はつれません。水もない場所ですからね。でも、どうしてなのでしょう? そのつりざおは、ルラルさんの宝物なのです。つりが好きだったおじいさんからもらい、一緒に釣りに行く約束もしていたのです。だけど、まもなく天国へ旅立ってしまいました。だから、魚を釣りたいと思えなかったのです。
今日もまた、ルラルさんが庭でつりざおをふっていると、いつの間にかみんなが集まっていました。
「ぼくら、魚がどっさりつれるとこ、しってます。」 「いきましょう。」「いきましょう。」
連れていかれたのは、丘の向こうの湖。いつかは使う時がくるだろうと思っていたルラルさんでしたが、今日がその日だったとは。ちょっとびっくりです。でも、せっかくなのでね……。
さあ、ここからは楽しいつりの時間。みんなは魚が釣れたのかな? ルラルさんはどうだったのかな? もちろん期待通り、あっと驚く展開が待っていますよ。「ルラルさんのえほん」シリーズ第9作目のテーマは、果たせなかった約束について。心に秘めた、ルラルさんの大切な悲しみ。癒してくれるのは、やっぱり庭の仲間たちなのです。
誕生から30年!最初からおじさんだったけれど、今もちっとも年を取らないルラルさん。子どもの時に読んでも、大人になってから読んでも、それぞれに心に染み入るお話ばかり。だから魅力的なんですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ルラルさんは、おじいさんからもらったつりざおを使ったことがありません。なぜなら、いっしょにつりにいこうと約束したのに、おじいさんさんは病気で入院したまま亡くなってしまったからです。 ある日、ルラルさんがそのつりざおを庭でふっていると、仲間の動物たちが集まってきて、魚がよくつれる湖に案内してくれました。 仲間たちは次々に魚をつりあげますが、ルラルさんは釣れませんる。ルラルさんがあきらめかけたとき、びっくりするほど大きな魚がかかりました。みんなで力を合わせて釣りあげようとしますが……。 ★『ルラルさんのにわ』(1990年)から30年。親から子へと読み継がれる「ルラルさんのえほんシリーズ」9作目。 祖父からおくられた「つりざお」へ寄せるルラルさんの思い、釣りにいく約束を果たせないまま亡くなった祖父との思い出があたたかく伝わってくる、感動の1冊! 子どもから大人まで、すべての人の心に響く絵本。
ルラルさんシリーズを読むのは、3冊目です。
どのお話もじんわりと沁みるものがあるお話なのですが、この絵本は亡くなったおじいさんからもらった釣り竿が登場します。
おじいさんと釣りに行く約束をしていたけど、おじいさんは亡くなってしまい、なんとなく釣りに行きづらいルラルさんの気持ち。
それでも、釣り竿を庭で振っていると、仲良しの動物たちが湖で釣りをしようと誘ってくれます。
流れに任せて釣りに来て、大きな魚を釣り上げそうになるけれど、結局ルラルさんは釣り上げられませんでした。
ルラルさんは残念がるのかと思いきや…。
最後のルラルさんの表情を見ていると、言葉ではうまく言い表せないのですが、なんとなくこれで良かったんだなぁということが伝わってきました。
大人だからわかる感覚なのかもしれません。 (ちびっこおばちゃまさん 40代・その他の方 男の子4歳)
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