![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
「こどもたちは、いつも、まだとちゅう」 絵本のテーマとして掲げられているこの言葉。なんて素敵なんでしょう。
主人公の“わたし”は、色んなことが上手にできない。 犬のルルのお散歩はいつもママと一緒だし、挨拶だって大きな声が出せない。 だって、まだ小さいから。 おばあちゃんにもらった服もぶかぶか、夜だって怖くて一人じゃ寝られない。 でも…。 でも、いつかはできるようになるもん。今はその途中だもん。 そうだよね。色んなことが段々とね。
そんな“わたし”にも心が揺れる瞬間があります。 大事なお人形をおともだちに貸せなくて、ケンカしちゃった時。 「このまま…ずっと遊ばない?」「いつか?」「いつかじゃだめ」 思い切って、おともだちの家に駆け出していく“わたし”。 こんな瞬間を優しく見守ることができたなら、子どもたちはきっとまっすぐに成長していけると思うのです。
どこまでも優しく繊細な目線で子どもの心の揺れを描き出しているのは、絵本作家のかさいまりさん。かさいさんの作品は、いつでもほんの小さな心の成長を見逃さずに絵本で表現してくれているのです。 そして、そんなお話をより愛おしいものにしてくれているのが、今注目の画家おかだちあきさん。ママの後ろから顔を出す表情、ぶかぶかの服を着て鏡を見つめる様子、そしてちょっとだけ成長した“わたし”の笑顔。優しく丁寧に描かれたそれらは、どの瞬間もはっとさせられるほど印象的な表情ばかりです。
知っているつもりでも忘れがちなこと。 小さな子どもたちにはいつだって不安があるってこと。 この絵本を親子で読んで、一緒に少しずつ前に進んでいけたらいいな。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
![ちいさい わたし](/images/4774321133_20130219185654_op1.jpg)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
「ごあいさつしなさい」って言われるともじもじしちゃう、 ひとりでなんてねむれない、おともだちとけんかしちゃったし…。
主人公の女の子は小さいから、いろんなことが上手にできません。 でも、けんかしたままじゃいやだから、ごめんねって言いにいこう―。 女の子はおともだちのところに走ります。
小さな子にも不安がある。 「うまくできないな」「できるようになるかな」 「けんかしちゃったどうしよう…」「またおこられちゃった」。 この絵本は、そんな子どもたちに、主人公の女の子の声をかりて 「いろんなことがだんだんね。いつかはできる きっと いまは そのとちゅう」と、 やさしく語りかけます。
子どもたちは、主人公に自分を重ね合わせてお話を聞くでしょう。 子どものできないところに目がいきがちなお母さん、お父さんは、子どもと一緒に 「そうだね。今は、いろんなことができるようになる、そのとちゅうだね」と、 親子のきずなを確かめあうことができる絵本です。
著者のかさいまりさんは、小さな子どもの心のゆれを表現する絵本を、数多く作られています。 それらの絵本は小学校の道徳の副教本にも採用されるなど、 子どもたちに伝えたいお話として小学校、保育園や幼稚園などで取り上げられています。 画のおかだちあきさんは、やさしい表情の子どもの絵が評判をよんで、 近年絵本でひっぱりだこの画家さんです。
子どもへのやさしい視線。 確かな信頼に裏打ちされたお話作りの名手と、 やわらかいタッチの画家が組んだすてきな絵本。 親子で読んでほしい1冊です。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
子供はいつでも「とちゅう」なんですね。
三歳の息子も今はお兄さんになる途中。
思春期を迎えれば、今度は大人になる途中。
そして、「とちゅう」は、中途半端という事ではなくて、
確実に前に進んでいるということ。
そんな風に子供の成長を受け止めると、
子育てで壁にぶつかった時に、
私自身も乗り越えていけそうです。
結果ではなく、過程を褒めましょうと
聞いたことがあります。
出来るようになる途中のいま、この過程を
褒めながら、前に進む姿を見守りたいと思います。
とっても良い絵本。
出会えて良かったと思える絵本です。 (りひまるさん 30代・ママ 男の子3歳)
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