
主人公のナッチは白と黒のぶちネコ。ネコの学校に通っています。ナッチには3匹の大切な友だちがいます。茶と白と黒の三毛猫、ミケ。トラのようなしまもようのあるマツゾウ。白とグレーのふわっふわのネコ、シオンです。
ある日、ナッチのクラスに転校生が来ました。名前はプリシラ。オレンジ色の長い毛が美しくて、女王様みたいです。プリシラはベストフレンドが欲しいと言い出します。ベストフレンドとは、親友のこと。いちばん仲良しのお友だちです。ナッチは他の友だちよりも特別な存在であるベストフレンドになりたいと思いますが、プリシラが選んだのは、自分ではなくミケで……。
『チームふたり』に始まる「チーム」シリーズ(Gakken)など、多くの児童向け作品をヒットさせてきた吉野万理子さん。本作では、ネコの学校を舞台に、友情をテーマにした物語を展開します。
注目すべきは、見開きページすべてにカラーで添えられている、優しいタッチのイラスト画。『うちのねこ』(アリス館)や『あら、そんなの!』(偕成社)など、ネコを題材にした作品を多く手がける高橋和枝さんが、それぞれに性格の違う5匹のネコたちを、個性豊かに描いています。自由気ままなしぐさや表情からは、ほのかにユーモアが漂い、ほのぼのとした明るい雰囲気を醸し出しています。
「ベストフレンド」や「2番めにすき」という言葉に振り回されながらも、自分らしい行動を思い出すナッチ。いろんな思いを経て、成長していくのですね。ラストにはプリシラが親友にこだわる理由も分かります。もし、お友だちとの関係に悩んでいる子がいたら、そっと手渡したいそんな一冊です。
(出合聡美 絵本ナビライター)

――ベストフレンドっていうのは、いちばんなかよしのお友だち! でも、友だちに順番ってあるのかな?
ぶちネコのナッチは、ネコの学校に通っています。三毛ネコのミケと茶トラのマツゾウ、ふわっふわのシオンはナッチのたいせつなお友だち。そんなナッチのクラスに、あるとき転校生がやってきます。転校生の名前はプリシラ。オレンジ色の長い毛がうつくしいプリシラは、「この学校でベストフレンドがほしい!」と言いだします。「ベストフレンド」とは、となりどうしで授業を受けて、お昼ご飯を一緒に食べて、ダンスの練習も一緒にやって、トイレも一緒にいく「親友」のこと。プリシラのベストフレンドになりたいなぁと思うナッチでしたが、選ばれたのはミケで……
ネコの学校で展開するユーモラスな物語をとおして、「友だちって、親友ってなんだろう?」という問いを読者になげかける児童文学。

ねこの世界だけど、人間の世界と同じで・・・。
かわいいねこちゃんの絵にいやされながらも、
深く考えさせられる絵本でした。
とてもいい絵本なので、何回も読んであげたい本だとも
思いました。
いろんな年齢で、いろんな環境で、
まったくちがった思いを感じるかもしれませんね。 (スケボウさん 40代・ママ 女の子14歳)
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