パリのモンマルトルの丘にアトリエを構え、世界中を旅してその土地の風土から絵本を生み出す絵本作家・市川里美さん。 今回のおはなしは市川さんの郷里・岐阜を舞台にした、古き良き日本の秋の風景が描きこまれた作品です。
柿が大好きで、おじいちゃんの畑の柿が熟すのを今か今かと待ち望んでいる男の子・ケンちゃん。 おじいちゃんに柿を上手に取る方法も教えてもらって、準備万端です。 でも、柿が赤くなって食べごろの時、同じように柿を狙っていたカラスたちに、柿を食べられてしまいます。 「こんなの、ふこうへいだ! せっかくよんだぼくのともだちは、カキをひとつもたべられなかったもの!」と憤慨するケンちゃんに、おばあちゃんはまだカラスに食べられていない柿の木を教えてくれます。 それは、渋くてそのままでは食べられない、渋柿の木でした。 「こんなしぶいカキをとってどうするの、おばあちゃん」と不思議そうに尋ねるケンちゃんに、おばあちゃんが教えてくれた柿があまーくなる秘密の方法とは? 大人の方ならピン!とくるかもしれませんね。
すべてのページを通して、日本の秋の原風景がそっとしまい込まれているような絵本。 柿の実がゆっくり熟していく様子や、樹齢を感じさせる枝ぶりの良い柿の木、 柿を虎視眈々と狙っているカラスの熟した柿をついばむ野趣あふれる姿。 派手さや突飛な展開はないけれど、渋柿をひとつひとつ丁寧につるして、ゆっくりと干していく熟練の手法を眺めるような、絶大な安心感と信頼がこの絵本には感じられます。
田舎を知らない子どももきっと「懐かしい!」と感じるような、日本人のDNAに訴えてくるおはなしです。
(木村春子 絵本ナビ編集部)
柿が大好きなケンちゃんは、実が赤くなるのを待っています。おじいちゃんやおばあちゃんから、実の取り方や、柿がどんなに体にいいかを教えてもらい、楽しみするケンちゃん。なのに、カラスに先に食べられてしまい…。 世界の子どもたちを描いてきた作者が、日本の子どもを描きました。縄文時代から食べられていたという柿をテーマに、日本の原風景が語られています。暮らしの中にある素朴なものや知恵を大切にしてきた作者ならではの作品です。
「世界を旅する絵本」シリーズ。
今回の舞台は日本の岐阜。
作者の郷里でもあり、実体験も織り込まれているようですね。
秋、ケンちゃんの柿エピソード。
日に日に赤くなる柿、確かに待ち遠しいですね。
柿のもぎ棒、見かけたことがありますが、こんな仕組みなんですね。
カラスとの攻防は、なかなか手ごわいです。
甘柿でのリベンジは干し柿作りで。
なるほど、なるほど。
題名に込められた「ぼくの」を体感です。 (レイラさん 50代・じいじ・ばあば 女の子1歳、女の子1歳)
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