![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
俗に汚い部屋のことを「豚小屋」などと申しますが、豚は存外綺麗好きなのでございます。じっさい豚は「食う」「寝る」「出す」場所をちゃんと区別してはるとか。 きくところによると野生に生きていた頃の名残らしいですわ。なんでも敵に自分の居場所を悟られないようにするためなんだそうでして。野生の豚いいますと、「もののけ姫」に出てくる乙事主(おっことぬし)様、祟り神になってしまったあの齢500歳の猪神を想像しますな。えっ、しませんか? ま、要するに豚は自分が暮らしやすいように、ちゃんと普段から考えてはるっちゅうことですな。 本書の主人公トン吉は、ある養豚場で暮らす豚さんであります。仲間がガツガツとエサを食うとるいうのに、ひとり食べないんですな。その理由をきいてビックリしたらあきまへんで。 「自分がハムになるのは納得いかない。丸々ふとったらいずれは人間に食われる。だから自分はダイエットしてふとらない」っちゅうんですわ。 そんでトン吉は、ダイエットばかりでなく、腕立て伏せや腹筋、ヒンズースクワットまでやっとるんですわ。想像してみなはれ、丸々ふとった豚たちのなかに、一匹だけスリムで逆三角形の体つきしたのがおるんでっせ! ブヒブヒ 仲間たちは心配して、「食べろ、それがわしらの仕事やないか」と説得をこころみる。要するに自分たちの運命を疑うことなく受け入れているんですな。もしくはあきらめている。しかしトン吉はまったく納得しない。そして仲間にこう言い放つんですわ。 「おれは自由になる!」 カッコよろしいなぁ〜、トン吉はん、あんさん男やねえ〜 その後、ダイエット作戦を遂行しつづけたトン吉は、不思議な行動をとる豚として耳目を集め、狙いどおりに「考える豚」として大学の研究室に送られることになります。 で、ハムになるのを免れた……かどうかは読んでからのお楽しみ。なにしろ三枝師匠のお噺ですから、そうはトン屋が、いや問屋がおろさない、かも??? そんなわけで、お後がよろしいようで……
![内容紹介](/images/shoukai_naiyou.gif)
ある養豚場にいる豚のお話。今日もお腹いっぱい餌を食べて、大満足のトン助。一方、同じ仲間のトン吉は、人間に食べられるのがイヤで、ダイエットを実行するのだが…。桂三枝の落語絵本第4弾。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
ハム専門の豚を出荷する養豚場で、飼育されている豚たちの話。
食事だけが楽しみの豚たちの中で、1匹だけダイエットしているトン吉。仲間がわけを聞くと、「ハムにはなりたくない」という。やせていれば出荷されず、どうにか生き延びられると思ったトン吉はその後もダイエットを続け…
お店で肉を買い、何気なく料理して食事をしているが、食べ物は全て命だった。野菜も肉も魚も、なんでも何かの命を殺して食べているという事実。特に肉類は、わざわざ嫌がる命を殺して食べている事実がことのほかよく伝わってくる。
ただ、豚がどのように育てられ、殺され、お店にならぶ豚肉になっているかはよく知らない。そのことを考えさせられた。
養豚場は、自分たちが生きている社会にも思えた。○○業界、と置き換えて、そこで使い捨てられる人間もまた社畜と言われる。なんとなく、大人も自分たちがどういう状況で働いているかわかっているけど、絵本の養豚場の仲間たちのように、諦めて受け入れて流されて生きている。食の問題と社会の仕組みの問題と、二重に思い問題が頭をよぎった。
とはいえ、どうにか最後の日まで、養豚場の仲間たちにように明るく、仲間を大事にして生きて生きたいと思った。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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