
「わたしのパパはかわってる。おじさんなのにおばさんみたい。だからわたしはおじばさんってよんでます。だれにもいったことがない、わたしだけのよびなです。」――どこにでもいそうな女の子と、少し変わって見えるパパ。思春期にさしかかる10歳の女の子の視線を通して語られる二人の生活は、小学生から大人まで誰もがいつか見た、感じたことのある、少し切ない情景を思い起こさせてくれるはず。水彩にアクリル絵の具、色クレヨン、色鉛筆で描かれるやわらかな詩情あふれる繊細で美しいページの連続にも、自然と心踊ります。

ママの不在に気づくと、少し切ないお話ではあります。
ママとの約束を守って、思春期の少女と向き合うお父さんは、すご腕のコックさんです。
温もりのあるお店と、母親役もこなす父親だから「おじばさん」なのですね。
さり気なく夜のお店で、ウェイターさんがバイオリンを弾いているシーンにうっとりしました。
奥付けページで、母親も加わって3人で浜辺を歩いているところにキュンとしました。
クジラのぬいぐるみは、母親の愛情の象徴のようです。
アチラコチラにハートフルな素材があって、癒しの絵本だと思いました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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