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長く学校を休んでいた静一は、山奥の父の故郷で祖父と二人で暮らすことになりました。 山で暮らすうち、静一の心には再び命の輝きがよみがえります。
★1991年度青少年読書感想文全国コンクール課題図書<小学校高学年の部> ★全国学校図書館協議会第26回選定「よい絵本」
自分の殻にこもってしまった静一と痴呆症の出てきた祖父。
両親の海外出張の間、父の故郷に預けられることになった静一です。
静一を自分の息子だと思い込んで、父の名前で静一を呼ぶ祖父。
伊勢英子さんの描く絵が、二人の心理と緑一色の中に脈打つ山の命を象徴的に高めています。
祖父の飼っていたニワトリを食べてしまって、小屋から逃げられなくなっていたイタチ。
祖父はイタチを水に沈めて殺すという衝撃的な行為を静一に見せます。
ただ、祖父は山に生きる様々な生き物たちの命の連鎖と、イタチを山に返してやるのだと語ります。
「かわいそうだね」
静一が久々に自分自身の言葉を耳にします。
川にきらめく水しぶきに様々な生き物たちの魂を感じます。
山の営みと、人間の営みの表現がとても重みをもって語られています。
イタチの肉は川に流され、イタチの毛皮は竹竿につながれ、川にたたきつけられて魚をとらえるための仕掛けになります。
生々しいお話ですが、現実感は伊勢さんの絵で幻想的にさえなっています。
ちょっと怖いお話だけに、高学年向けのお話だと思います。 (ヒラP21さん 50代・パパ )
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