エリオットはおおきなまちで暮らす水玉模様のちいさなぞう。 仲良しのねずみが自分の家族に会いに行ってしまったので、 エリオットはひとりぼっち。
ひとりぼっちになってしまったエリオットは、海をみながら考えます。 「家族がいるって、どんなかんじかな」 そして、エリオットを探しにきたねずみは言いました。 「あったかいところに いこう。いっしょに おいで」
「受け入れる心の大切さ」を教えてくれる絵本です。
1940年代のニューヨークをモチーフにした写実的な描写と キュートなキャラクターで、数々の賞を受賞したハートウォーミングストーリー。 大人気「ちいさなエリオット」シリーズ第二弾。
このちいさなエリオットの大きなテーマは『家族』です。ちいさな象のエリオットにはねずみくんという仲良しの友だちがいます。けれど、ある日ねずみくんは自分の大家族の集会に行ってしまい、残された家族がいないエリオットはひとりぼっちの一日を過ごすことに。その小ささとカラフルな水玉模様からエリオットはぬいぐるみがモチーフなのかな?と想像が働きます。
建物の窓からひとり顔を出すエリオット。映画館でひとりのエリオット。誰も悪くはないけれど、だからこそひとりの寂しさはどうしようもないものです。いつもは家族の声が溢れる家の中に、何かの事情で自分一人だけしかいないときにこみ上げてくる寂しい気持ち。そんな経験は誰にもあると思います。ましてやエリオットには帰ってきてくれる家族はいないのです。
例えようのない寂しさを感じながら雪の中を歩くエリオット。そんなとき、家族の集会にでかけたはずのねずみくんが声をかけます。「あったかいところに いこう。いっしょに おいで」
もちろんエリオットとねずみくんは本当の家族ではありません。けれど、二人のつながりは、新しい絆を生み出していきます。だって二人は本当の友だちなのですから!
ひとりぼっちでも自分がいることはとても大切です。それは0か1かの差で、本当に大きな違いです。でも、1と2の差も大きいのです。自分がひとりのときに誰かが手を差し伸べてくれる。ひとりの誰かを自分が受け入れていく。そうやってひとりぼっちの1が温かな2になっていくことの素晴らしさと大切さ。ちいさなエリオットの本当のテーマはこちらなのかもしれません。
では『たくさん』と『たくさん+1』にはどんな差があるのでしょうか? 是非ともこの絵本の最後でその違いが示す温かさを感じてもらえればと思いました。 (猫月カエルさん 50代・せんせい )
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