ある朝、猟師は息子の七つのお祝いのために何か獲ってこようと、手に取った鉄砲をうっかり落とし、下にあった石臼にガチンとぶつかり、筒がへの字に曲がってしまった。
「……なんて間の悪い。」
ところが、それが幸運の始まりだったのです。
ゲンが悪いと止める息子の言葉も一切気にせず出かけた猟師が曲がった鉄砲で放った弾は、ぎしゃぎしゃ飛んでいって鴨を13羽まとめて仕留め、たまげて躍りあがったでっかい鯉、木の根と間違えて後ろ足をつかんだ山ウサギ、飛んできた鯉にぶつかった山鳥と……次から次へと猟師の前へ転がりこんでくる。
「こんなことって、あるの!?」
読者が驚く間もなく、運は運を呼び、ものすごいスピード感と大胆さで猟師のふところにご馳走が集まってくるのです。からだ中に獲物を巻き付けた帰りがけの漁師の姿ときたら……そう、それが表紙の堂々たる格好!「間がいい」だけでなく「気もいい」猟師は、近所の人をみんな呼び、大盤振る舞いをして…。
終わってみれば、なんとも気持ちのいい物語。あんまり運がいいと人は可笑しくなってくるものなのですね。この豪快で愉快な昔話を、瀬田貞二さんの再話と赤羽末吉さんの絵で。思いっきり声を出して笑っちゃってくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
猟師が息子の七つの祝いのためにと出た猟で、撃った一発が13羽の鴨を仕留め、さらに鯉、ウサギまでもが手に入ることに。運が運を呼ぶめでたい話。
猟師が、息子の七つの祝いのために、山のものでも何かとってこようと、鉄砲をおろそうとしたところ、うっかりとりはずして鉄砲が落ち、石臼に当たって筒が曲がってしまいました。
それを見た息子は「げんがわりい」と猟を止めますが、かまわず猟師は出かけていきます。すると行く先々で…。
曲がった鉄砲を持って出かけた猟師の、度重なる幸運は、芋づる式でスピード感あふれ、気がついたら話が終わっていた、という感じです(汗)。
所狭しと並ぶウサギやキジやカモの姿と、それを喜ぶ人々の姿は、弱肉強食の自然界の側面を見るようで、少々複雑な気持ちになりましたが、子どもはとても自然に聞いていました。
子どもになじみのない「なげし」や方言の「あさみ」「はばき」という言葉が出てきますが、一番後ろに説明が添えられています。
(あまたろうさん 40代・ママ 女の子7歳、男の子7歳)
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