おかしいな、遊ぶともだちが誰もいない。 みんなどこへ行ったのかな。
歩いて来たのは、お宮の前。 かんたは、しゃくだからと大きな声で歌います。
「ちんぷく まんぷく…… ……めっきら もっきら どおんどん」
めちゃくちゃの歌です。すると、どこかからか声がして、かんたがのぞきこんだ途端吸い込まれ、知らない世界の夜の山にたどり着いた! 向こうの方からやってくるのは、見た目も名前もへんてこりんな3人組。“もんもんびゃっこ”に“しっかかもっかか”に“おたからまんちん”。おっかない顔をしているクセに、なんだかひどく子どもっぽい。
ところが……この3人の遊びの素敵な事と言ったら。ふろしきを首に巻けば、どこへでも飛び回ることができ、たくさんの宝の玉の中から不思議な水晶玉をもらい、なわとびをすれば、山をけとばし月までひっかける!かんたは時間を忘れ、夢中で遊び回ります。そのうち疲れ果て3人が寝てしまうと、かんたは心細くなり……。
ちょっと不気味な表紙の雰囲気に「もしかしたら、うちの子には怖い絵本かな」と遠ざけてしまっていたらもったいない! なぜなら、子どもたちが夢中になる世界には、いつだってスリルが隣り合わせにいるのですから。テンポの良い文章と展開であっという間に惹き込まれ、画面を縦に横に自由自在に扱った躍動感あふれる絵の世界に、心が躍りっぱなし。絵本を読み終わり、大人だって、なんだかもうちょっとここに残っていたくなるほど。
でも大丈夫。子どもたちならきっとあの「歌」を覚えてくれるはず。そうすればいつだって、ね。ファンタジーの傑作絵本を体感する喜びを、ぜひ親子で味わってください。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
かんたがお宮にある大きな木の根っこの穴から落ちて訪れた国は、何ともへんてこな世界でした。そこの住人“もんもんびゃっこ”“しっかかもっかか”“おたからまんちん”とかんたは仲良しになり、時のたつのを忘れて遊び回ります。けれどもすでに夜。遊び疲れてねむった3人のそばで、心細くなったかんたが「おかあさん」と叫ぶと……躍動することばと絵が子どもたちを存分に楽しませてくれるファンタジーの絵本です。
この絵本は、私にとって絶対に1番の、特別な1冊です。
私が幼稚園の頃、この絵本が大好きでくりかえし読んでもらっていました。大人になってすっかり忘れていましたが、娘が生まれ、この絵本に再会しました。
この絵本を手に取って、めくりだしたとたんに3人の妖怪と遊んでいたこと、おもちがふうわりあまくておいしかったこと、不思議な怖いようなわくわくするような気持ちが一気によみがえって泣きそうになりました。
大人がよむ絵本と、子どもがよむ絵本は、全く別のものなんだと気付いた瞬間です。子どもは、絵本の中に入りこんで一緒に体験しています。大人になってからでは絶対にできない、不思議な経験を絵本の中に入ってすることができます。
そしてそれは、大人になってからも、心の奥に残っているんだということを、身を持って体験しました。
そして私が、娘に初めて買った絵本が「めっきらもっきらどおんどん」です。5歳と2歳の娘たちには、数多くの絵本を読んできましたが、この絵本が絶対の1番です。
不思議な世界に連れて行ってくれて、ちょっと不安になって、そしてほっとして、でも最後に「あれ?これって・・・」と少し不思議な気持ちを残して終わります。
この不思議な感覚こそが、絵本の醍醐味だな〜と思います。 (solicaさん 30代・ママ 女の子5歳、女の子2歳)
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