死んだらどうなるの? 『キツネ 命はめぐる』【NEXTプラチナブック】
地面も凍る寒い冬、林の木々には葉っぱもありません。でも、耳をすませてよく見ると、命がこっそりうごいているようで……?
サクサクっと音をたてて歩いているのは、キツネです。巣の中で待つ子ギツネたちに持ちかえる食べものを探しているのです。子ギツネたちは、鳥や植物、水や空気から必要なものをもらいながら、すくすく育っていきます。
やがて、彼らも自分たちで食べものを探しに行かなければなりません。子ギツネがじっと息をひそめ見ている前で、キツネが獲物をとらえます。やった! ところが、その時。車のライトで目がくらみ、キツネははねられ……。
それでも子ギツネたちは生きていきます。季節は移りかわり、キツネはだんだん消えていき、そしてやがて新しい命が生まれてきます。その死はひとつの命の終わりではないのです。
「生きものは死んだらどうなるの?」
豊かな自然を美しい色彩で、生き生きと動きまわるキツネたちを愛らしく躍動感たっぷりに描いたこの絵本。それだけでも見ごたえがありながら、キツネの死を通し命がめぐっていく物語を、科学的根拠に基づいた内容でしっかりと伝えてくれます。巻末には解説もついています。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
林で暮らすキツネ、そこに生えるもみの木や、虫たち。私たち人間も、見た目は全然違っても、みんな同じように命があります。キツネの死を通して、死は新たな命につながっていくということが描かれています。
キツネの家族を通して、生と死、命のサイクルを描いた絵本です。
ダニエル・イグヌスの絵の素晴らしさに引き込まれてしまいましたが、とても大切なことを感動的に描いています。
三人の親子が散歩する林の中には、いろんな命が忍んでいます。
キツネの親子を通して描かれたのは
生誕であり、成長であり、死であり、次の世代への継承でありました。
人間社会のそばで危険と隣合わせでありながら、命の大切さと、市の悲しみの向こうに、次の世代への移行、他の生命との共存までも描きこまれていました。
人間もいろんな命と共生していること、いずれは訪れる悲しみにも、向こう側があることを感じました。
イグヌスの絵が、心に響いてきます。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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