「わたし」は「わたし」。 山口みちこ、5さい。 でも、「わたし」って誰なんだろう?
生まれたばかりのあかちゃんから見ると「おねえちゃん」。 お兄ちゃんからみると「いもうと」。 お母さんやお父さんから見ると「むすめ」だし、おばあちゃんやおじいちゃんからみると「まご」。 先生から見れば「せいと」だし、みっちゃんからみれば「おともだち」。 犬からみれば「にんげん」だし、宇宙人から見ると…「地球人」!?
「わたし」は「わたし」。 一人のはずなのに、こんなにもいっぱいの呼び名がある。
れすとらんへ行けば「おじょうさん」って呼ばれるし、映画館ではただの「こども」になる。じゃあ、私のこと知らない人から見たら…?
考えはじめると止まらない。 今まで見ていた景色がちがってみえる。 自分の世界がぐらぐら揺れる、はじめての「哲学絵本」!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
わたしは山口みち子、5才。お兄ちゃんからみると“妹”でも、犬からみると、“人間”。わたしはひとりなのに呼び名はいっぱい。社会関係を楽しく描きます。
【安藤パパ】 この春、小学生になる娘に贈った一冊。 5歳の「わたし」は、おにいちゃんから見ると「妹」。おばあちゃんから見ると「孫」。 さっちゃんから見ると「友達」、お巡りさんから見ると「迷子?」、犬のゴロウから見ると「にんげん」、宇宙人から見ると「地球人」・・・。 本書はそんな感じで1ページずつ他人から見たいろいろな「わたし」が登場する、谷川俊太郎&長新太のクールだけどあったかいコラボレーションが楽しい絵本だ。 「自分とは誰だ?」。そう、人間である以上、この哲学的問いから逃れることは誰もできない。でもそればかり考えていると心がズーンと重くなって、外に出られなくなっちゃう人もいる。それはなんか悲しくてモッタイナイことだと僕は思う。 だから大人への道をやっと歩き始めた娘に伝えたい。 私は確かに「わたし」だけれど、「わたし」は私だけで成り立っているわけではないんだよ。社会に生きるいろいろな人と交わって私は「わたし」として育っていくし、それが「生きてる」ってことで、それはとてもとても楽しいことなんだよ、と。
「わたし」はお父さんお母さんからみたら「むすめ」。男の子から見たら「女の子」。宇宙人から見たら「地球人」。
私を様々な立場から眺めた絵本。最後の歩行者天国にいたら「大勢のなかの一人」に考えさせられる余韻があります。
絵本なので、子供向けなのですが、なかなか深い。「わたし」のペルソナ(仮面)について簡単にリズミカルにユーモラスに語ってくれています。
娘には早いかな。と思ったのですが、谷川俊太郎、長新太という魅力的な組み合わせに、自分が欲しくて買ってしまいました。
ところが、意外にも娘は面白かったようです。名前のところを娘の名前に変えて読んだのがヒットだったようです。
なまいきにも「ふぅん」といく度かあいづちをうちながら聞いて、「もう一回」と何度も言われちゃいました。 (佐保姫さん 30代・ママ 女の子1歳)
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