友だちもなく退屈していたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのを聞き,ヴィクトリア時代の庭園に誘いだされて,ふしぎな少女と友だちになります.歴史と幻想を巧みに織りまぜた傑作ファンタジー.
『TOM’S MIDNIGHT GARDEN』が原題。
児童文学のおすすめ本としてよく目にしていたのですが、なかなか読む機会がなく、
今回「時間」をテーマにした選書をしていて再会したので、思い切って読んでみました。
弟のピーターがはしかのため、キットスン家に隔離されたトム。
せっかくの長期休暇を、自宅のお気に入りの裏庭でピーターと愉快に遊ぼうと思っていたのに。
キットスン家は古いアパートで、庭らしいものなんてないのに…。
ところが、大時計が一三時を打つと、不思議な出来事が起こるのです。
時間と空間が交錯するので、かなり難解な、一種のミステリーです。
でも、丁寧な庭園の描写がリアリティたっぷりで、一緒に冒険している気分になります。
不思議な少女ハティとの出会いなどを通して、自分のアイデンティティーも揺さぶられるトム。
時間と空間を行き来しながら、ラストではその謎のパーツが見事に完成します。
頭の回転の遅い私にとってはかなり難解でしたが、
丁寧な描写から広がるイメージにひかれ、ぐいぐいと読み進められました。
イギリス文学ですので、ヴィクトリア女王とかの歴史がわかっている方がいいですね。 (レイラさん 40代・ママ 男の子20歳、男の子18歳)
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