「わにさん どきっ」 「はいしゃさん どきっ」
あれあれ、怖がっているのはどっち? これがね、どちらもなんです。
「どうしよう……こわいなあ……」
どちらもイヤイヤ、どちらも怖がっているのです。
確かに、虫歯になったら歯医者さんに行かなくちゃならないし、どんなに鋭い歯を持っている患者さんだって治さなくちゃならないのです。覚悟を決めて、いざ!
読み終わってみれば「歯みがきをしてくださいね」となるのですが。もちろん、そんなシンプルなお話ではありません。五味太郎さんの作品ですからね。どの見開きにも全く同じセリフが2回。ワニさん側と歯医者さん側。それぞれの立場で発せられるのです。その意味はおんなじようで、少しずれていて。その気持ちは全く違うようで、少しだけ重なっていて。しびれるような場面の連続で進んでいくのです。
小さな子には難しい? いえいえ、そんなことはありませんよ。だって、表情を見ていれば、その滑稽さが伝わってきますものね。笑っちゃうものです。それに読み方ひとつでも、反応は変化していくのかもしれませんし。絵本って、面白いですよね。
「いずれ また」
何回でも読んでみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
患者のワニさんと人間の歯医者さんとの間におこる時々刻々の心理の落差、変化の妙を、みごとな手法で描いた抱腹絶倒のおもしろ絵本。
歯科検診の際にいつも読んでます。
五味先生の絵本は、いつも表情がすてきで
歯医者さんの「こわいなぁ」という表情は文字を読まなくても
伝わってくるほどです。
わにと歯医者は同じことばをいっているのですが
この言葉遊び感も最高です。
3歳以下でも楽しめる絵本ですが
言葉遊びがわかる、4-5歳以上だと
ゲラゲラ笑いながら読んでいます。
(みみずくままさん 30代・ママ 男の子5歳、男の子3歳)
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