子供の病気や災いを人形に託して川へ流すという「流し雛」、ひな祭りの由来となったこのお話が一番丁寧に描かれているのでは。熱が下がらなくなった妹を必死で看病する兄。妹がいつも大切にしていた兄の作った粗末な木切れの人形が病気から救ってくれるのです。豪華な雛人形に見慣れた今の子供達も、この切実な願いのこもった小さな人形や兄弟愛に心を動かされるのではないでしょうか。
ひな祭りは、古代中国の上巳の節供が、日本に伝わる祓いの行事と結びついたものといわれています。初めは紙で作られていた人形ですが、次第に精巧なものへと変化し、流していたものが飾られるようになっていきました。官女や五人ばやし等を段飾りにするようになったのは、江戸時代中期以降だといわれています。時代と共にその姿を変えていったひな祭り。この絵本は、人形にけがれを移し、その年の無事を願うひな祭りの精神を今の子供たちに伝わるよう創作したものです。
「そういうわけだったのかあ」
この絵本を娘に読んであげ、読み終わった瞬間に娘が言った言葉です。
ひなまつりがどういう風に始まったのか、しみじみと納得できた
ようです。こんな風にほんの小さな子どもにも、しっかり風習の意味を
納得させることができるなんて、いいなあって思いました。
三郎次が、妹のおはなのために愛情こめて作ったお人形だったからこそ
(たとえ人形らしくない木をつなぎあわせたものだったとしても)
おはなの病気の身代わりになってくれたのでしょうね。
我が家にも娘が産まれた時に、夫の母が木目込みで作ってくれた
男びなと女びながあります。娘の成長をきっといつまでも見守って
いてくれるだろうなって思います。 (ぽこさんママさん 40代・ママ 女の子5歳)
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