子どもが育つ条件として、無条件の愛情という言葉がある。自分の子どもだけら愛せる。愛さなくてはいけないというのは、ある種呪縛のようなものかもしれないと思った。
読み終わってから、時間が経って、『白雪姫』の継母は実母だったという話を思い出した。昔話の時代なら、娘を愛せない母も愛子ほど苦しむこともなかったのでは。
人の心の中のすべての感情に、理由があるわけでもないのだろう。愛子は、自分が日和を愛せない理由を探ろうとするが、探れば探るほど苦しくなるように思った。自分の中に、理由のつかない感情が存在することの息苦しさではないだろうか。
重たい話だが、日和の周りに、桃吾・一喜・柚希など日和を暖かく見守る存在がいることに救われる。
家族のあり様は、一様ではなく、端から見たら不可思議なこともあるように思う。
心ざわつく話だが、不思議にこの家族の決着のつけ方には納得ができた。