ケビン・ヘンクスと言えば、2005年のコールデコット賞受賞作品の「まんまる おつきさまを おいかけて」が知られています。
この作品は、2008年の発刊で、原題は「Old Bear」
物語は、熊が冬眠しているシーンから始まります。
それは、表紙から続いているもの。
表紙は秋から初冬という感じで、熊が歩いているのです。
それから、熊が冬眠中に見た季節毎の夢が展開します。
春はピンク、夏は緑、秋はオレンジ、冬は銀世界と、とても色鮮やかな夢を見るのですが、良く見ると、熊は小熊になっています。
邦訳では、「はるまちくまさん」となっていて、単に春を待つだけのストーリーのように思えたのですが、原題が「Old Bear」としていることから、夢ということに作者の思いを託しているのでしょう。
熊が目覚めると春。
春を体感して物語は終わるのですが、全てのものが生き生きとしていて、生を受けた喜びを感じずにはいられないというエンディングは、中々のものだと思います。
そして、裏表紙は、春が描かれていて、トータルで絵本を構築する姿勢は評価に値するものでしょう。
色鮮やかな絵が満喫できる作品です。