菜園で「うちの田んぼは・・・」なんて言って、冷たい視線をあびたことがある。
田(田んぼ)は基本的には稲を栽培するところ、畑は野菜などを栽培するところとなっているので、菜園は畑と言うしかない。
ちなみに日本の場合、田と畑の面積比は、平成20年の調査では、田54.4%、畑45.6%となっている。
やはり日本は稲作文化なのだ。
全国ベースでは田畑の合計は462万8000haだという。けれど、宅地等への転用、耕作放棄等のかい廃などで減少傾向にあることはいうまでもない。
この絵本はタイトルにある通り、田(たんぼ)の話だ。
5月の今の季節なら田(たんぼ)には水がはられていることだろう。早い処では田植えが始まっているかもしれない。
田(たんぼ)には様々な生き物がいる。
農薬の影響でその姿をあまり見なくなったものたちもいるが、この絵本ではまだまだいっぱいいる。
表紙の見返しにその生きものたちが描かれている。
トノサマガエル、クサガメ、アメリカザリガニ、ゲンゴロウ、ミジンコ、イトトンボ・・・。
最近ではなかなかお目にかかれない。
もうすぐ春の田(たんぼ)。
土の中ではカエルたちがまだ冬眠している。
彼らは突然の大きな音で目を覚ます。「ざくり」。この音は何だ?
農家さんが田(たんぼ)の耕作を始めた音。耕運機の爪がカエルたちのそばまで突き刺さっていく。
土の中から虫たちがはい出て、鳥たちがそれをついばむ。
「たんぼレストラン」の開店だ。
そして、田(たんぼ)に水がはられる。
水の中にもたくさん生き物がいて、ここでもカエルやつばめがやってきて、「いただきまーす」と大きな口を開けている。
田植えが終われば、ザリガニもやってきて、またパクリ。
空からは鳥がお客さまとしてやってくる。
裏表紙の見返しには田(たんぼ)にやってくる動物や鳥たちが描かれている。
モズ、モグラ、カルガモ、アカネズミ、ニホンザル・・・。
稲が実ると、スズメたちがやってくる。
田(たんぼ)は年中おお忙しいのレストランだったのです。