表紙を開いて、最初のページの女の子の表情が最高にいい。
赤いランドセルをしょって、これから学校に行こうとしているまみこちゃんは小学一年生ぐらいでしょうか。彼女が両親のためにしかけたかわいいいたずらが、そしてそれはとっても素敵な贈り物でもあるのですが、楽しくて仕方がない、そんな笑顔です。
このページを見たときに、私の娘たちが小さかった頃のことがパアーッとひろがりました。私の娘たちも、まみこちゃんのように、輝く笑顔をたくさんくれました。
親として、子どものそんな笑顔にどれだけ救われたことでしょう。娘たちが成長して、いつのまにか、そんな素敵なことも忘れているなんて。
子どもは生まれてから数年間で親孝行のすべてをしてしまう、そんな話を聞いたことがあります。赤ん坊の頃のちいさな手、笑顔、泣き声、そのすべてが愛しかった。小学生にはいった頃の走りまわる姿もかわいかった。
成長して生意気になって親に反抗したりしたりすねてみたりしたけれど、それまでにいっぱい幸せをもらっていたことを忘れていたのは、こちらです。
ごめんね。
この絵本は1979年に刊行された、もう30年以上前の本です。
描かれているまみこちゃんのお家のようすはすこし時代を感じますが、まみこちゃん家族の幸福は今でもあります。ただみんながそのことを忘れているだけ。
もしかして、この絵本はそんな大切な忘れ物を届けてくれたのかもしれません。