この絵本の絵を見て、
あ、これ、あの本の表紙の絵とそっくり、と気がついた人も多いかも。
そう、この『スープとあめだま』の絵を描いたのは、
2019年に刊行され話題となったブレイディみかこさんの
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の挿画を担当した
中田いくみさん。
そして、文を書いたのはブレイディみかこさんですから、
強力コンビによる絵本といえます。
内容も深い。
ホームレスの人たちを助けるボランティに出かける姉について家を出た男の子。
でも、なんだか不安。
ホームレスって? ボランティアって何をするの?
最初は何もわからず、ホームレスの人が死んでるなんて思ったり、
彼らの匂いにとまどったり。
なんとなくうろうろいていると、スープを配ってといわれて。
おずおずと。
そんな男の子の差しだすスープに、ホームレスの男性が「いきかえったようだ」と、
お返しに男の子にくれた、ひとつのあめだま。
タイトルはここから採られています。
男の子はそのひとつのあめだまが、
とても小さいけれど、とれも暖かい「いのちをつなぐ」ものだと知ります。
中田さんの絵は物語と同じようにほとんど色が抑えられていますが、
きっとそんな世界にもっと多くの色をつけるのは
この絵本を読んだ私たちなのでしょう。