レビューに誘われて、窪島誠一郎さんの『約束「無言館」への坂をのぼって』を読みました。
とても奥が深い作品でとても心打たれたのですが、レビューを書こうとして立ち止まりました。
言葉の行間、絵の中にある重さを理解するには、無言館のことについてあまりにも知らないことばかり。
何冊かの本を読みあさることになったのですが、その中でこの本は小学生上級から読める本として、お薦めしたいと思います。
窪島さんが戦没画家の遺族を訪ね歩くことになった経緯と、その記録、そして無言館に展示されている作品に込められた思い、遺族の思いがまさに巡礼記録のように刻まれています。
大切に保管されている絵、忘れるために焼かれてしまった絵、遺族にとって窪島さんは待たれていた人間でもあり、招かれざる人間でもあったのです。
多分、戦争という残酷な歴史に運命を振り回されたことを斟酌しなければ、本当の意味で無言館に作品を理解できないのではないかと思いました。
戦没画家が残した絵。
それはその人そのものであったことが判ります。
無言館への坂道をのぼるために、私にはもう少し勉強が必要のようです。