カバーの内側に3冊の絵本が紹介されていました。
『ママ、お話読んで』、『ぼくが一番望むこと』、そして『わたしのとくべつな場所』ですが、すべてを読んできたようです。
この絵本を含めて共通したことがあります。
黒人が差別されていた時代、公共機関が使えなかった時代には、文字にあこがれ、本にあこがれ、図書館にあこがれていた黒人の若者たちが描かれていることです。
そして、それぞれが自分の大きな糧として成長していったことです。
まとめてしまうと、この絵本についての話が終わってしまいそうですが、改めて思ったことがあります。
「図書館って何だろう?」
自分の図書カードが持てない黒人の「ぼく」は白人である職場のフォークさんのカードを借りて、図書館に本を借りに行きます。
借りた本が、「ぼく」の素晴らしい糧となったのです。
しかし、図書館では利用者からも職員からも冷たい目で見られ、代理で借りに来たという言い訳に疑いを隠しません。
図書館がサービス機関だと習ってきた自分にとって、全く逆の管理的な利用者を差別し、見下した図書館を感じました。
間口を広く開けるのではなく、扉を閉ざして利用者を選別した時代。
過去の話であっても、これが図書館だとは思いたくないな。
一方、図書館を利用することにこれほど情熱をもった若者がいたことに対しては喜びを持ちました。
嘗て、図書館は知識の宝庫としてとても重要な場所でした。
現代は、図書館に足を運ばなくても情報が得られるようになり、学ぶものたちからは少し距離をおかれてしまったような気がします。
それはそれで素晴らしいIT社会です。
しかし、図書館にも存在の意義があるのです。
少年、若者にとって身近で大切な場所であって欲しい。
この本を見ながらそう思いました。
PS:レビューで歴史背景だとか、関連する図書についての紹介を目にするととてもありがたく思います。
この絵本については特にそう思いました。
歴史知識を深め、関連図書を読むことで、問題意識を深めていくことは絵本についても可能であると理解しました。