野原が海原のように風がさざ波を作っている。
迷い込んでしまったのは、狐の小学校。幻想的な世界のはずが、西村繁男さんの絵が、ほのぼのと懐かしいような風景で、私でも行かれそうな身近な場所に思える。
迷い込んでしまった主人公は、農学校の先生、作者の宮沢賢治さんを彷彿とさせる。
足を踏み出すと、狐の子ども達が遊びのために草を結んでそこかしこに作った罠に引っかかってしまった。
叱りに来たのは黒のフロックを着た先生。
先生方は、皆お洒落で、皆それぞれ個性的、教師の誉れのような方達、真剣に子ども達に向き合っている。
茨海小学校は野ばらで囲まれた、青空小学校、黒板や地球儀など教室の備品も、実験室も立派に備わっている。授業もしっかり行われている。
狐の校長先生は、
「あなたの方の狩猟は私の方の護身にはいり、(そりゃぁそうだ!)私の方の狩猟は、さあ、、、狩猟前業はあなたの方の畜産(鶏は狐の好物)、、、。」
「最高のうそは正直なり」…「正直は最良の方便なり」などなど。
先生(主人公)は、頭がもちゃもちゃしてしまう。
先生が、自分の学校に戻り教鞭をとる時、茨海狐小学校での体験からどんな授業をするのか、私ももぐりで聞いてみたいなぁ、と思った。