ホーホー博物館に届いた犯行予告状。怪盗Uの挑戦を受けたワンコロ警察は、おしり探偵に協力を依頼。ところが女神のマフラーは盗まれてしまい、犯人を追う逃走劇が始まる…
毎度の事ながら、貴重な美術品が盗まれる事件が起きているのに、その辺の脇役たちは全然のんきに自分の道を歩んでいる。この事件の重大性と、背景ののんびりさ加減の落差が面白い。
随所にクイズが出され、読者もボーっとしていられない。犯人捜索に協力している気分に。操作のついでに、妙なことになっている脇役たちを観察するのも楽しい。
犯人はとにかくやりたい放題。知能犯でもあり、わんころ警察の弱点を見事についてくる。往年の江戸川乱歩氏の名作「少年探偵」を思わせる。明智探偵と、怪人二十面相のゆるい版。
自分のほしいものは、自分の美学を追及した方法で、許可なく手に入れる上、派手な演出と気障な態度の自意識過剰ぶり。上空からう○こ(型のマスク)を大量にばら撒く…など、大人になっても一度はやってみたいと思うようないたずらを全部実行している。
いたいけな少年少女の読者の皆さんは、きっと保護者や周囲の大人たちから禁止されている行為を、物語の主人公が代行してくれて大喜びだろう。
事件が起きても誰も怪我せず、死人も出ず、悲惨な運命を辿る人もなく、いたって平和な展開が安心だ。
気球で逃げるというロマンチックで非現実的な展開が、昭和の怪盗物を思わせてちょっぴり懐かしいような気分だ。
おもしろいぞ。