小さなおばけシリーズ、第34作目。2015年。
こども祭りの出し物で一日コックさんを募集して、町のみんなに楽しんでもらい、ついでにレストランの宣伝にもなるというのらねこボンのアイデアで、アッチたちはイベントを主催した。大勢の希望者がじゃんけんをして勝ち残った4才の少女が、一日コックさんになったが…
天才少女、ライバル、色物さん、主人公、トリックスタアさんと、物語を面白くするキャラクターが夢の競演をする。人気のある役者しか出てこない演劇みたいな感じだが、パンケーキ100枚を重ねて塔を作る、という目標を目指し、全員がいつの間にか協力して目標に向かって集中していくので、意外とまとまっていた。読者も、地上に居る時は、それぞれのキャラクターの強烈な個性の中を彷徨うが、パンケーキがどんどん積み重なっていくにつれ、意地悪なドララ嬢や策略家のボンなどの泥臭い世界から、目標を達成したいという純粋な願いに向かって、心が澄んでいく感じがする。
スポーツなどの大会で応援している客の気分だ。
しかも、幼い少女が頑張るのだから、更に客の同情心をそそる。
物語は、声に出して読むと音が楽しめるような工夫もしてあり、パンケーキがどんどん積みあがっていく絵の面白さと、テンポの良さ・スピード感なども感じられ、物語の中を一気に突き進んでいく感じも快適だ。最終的には誰も思いつかないような展開になって、びっくりするが…
最後まで楽しい一冊。気の強い女子の戦いをご覧ください。