2014年に刊行された、小さなおばけシリーズ。登場人物も充実してきて、いよいよ主役を張るお化け同士の交流が始まった。
お化けのソッチは、飴屋のおばあさんが病気で寝込んでいるため、店の仕事をし、普段とは違う「いい子」になって、おばあさんに負担をけないように頑張っている。友達も応援するが、毎日飴を買う訳にもいかなくなり、みんなで売り上げが上がる方法を考えたが…
ソッチとアッチが出会い、お化け同士で助け合う人情物。巻末にはお話に出てきたぞびぞびキャンディーの作り方も載っていて、最後まで楽しく、ためになる一冊。
かわい子には旅をさせよ、というが、おばあさん&孫の関係に近い物語の2人。病気で寝込んでしまったため、ソッチの面倒を見ることができなくなったから、ソッチは自立する気持ちが芽生えたのだと思う。自分の身近にも、世話を焼き過ぎてダメになった親子と、世話を焼かな過ぎてダメになった親子が複数組いるが、極端な「お世話」の過不足は、結局お互いがダメになるように見受けられる。
この物語の本筋ではないと思うが、二人の関係を見ていると、うまい具合に子どもが自立していくきっかけを与えられた感じがする。何でもやってあげるだけの「甘やかし」おばあさんではなく、きちんと間違いを指摘してダメなものはダメと言えるおばあさん。
ソッチも、ワガママなだけではなく、人のことを思いやれる子に育ってくれたようで、読んでいてほっとした。
物語には直接描かれていないが、彼女らの普段の生活は、きっとお互いが良くなるように、お世話しすぎず、甘えすぎず、良好な協力関係が続いていたのだと思う。
お化け同士のよしみか、レストランで働いているアッチとお互いに協力し合っているのも温かい。子どもみたいな外見だが(そもそも年齢不詳だが)二人とも立派に働いている者同士。苦労は知っているからこそ、困った時はお互いさまという行動がとれるのだろう。