小学校の読み聞かせボランティアをしていたときのエピソードです。
小学1年生の読み聞かせは、入学当初は落ち着かないものの、少しずつ座って学習することに慣れ、人の話を聞くことができるようになるものです。ところが、2学期になっても、読み聞かせの絵本に全く興味を示さない男の子がいました。
なんとか「絵本の楽しさ」を伝えたいと思い、選んだのがこの一冊です。
「絵本の読み聞かせのときは静かにしましょう」と教えられている子どもたちに、「さぁ、今日は一緒に声を出してみよう」と呼びかけると「え〜、いいのかなぁ」とざわざわ。ところが、かっぱが「かっぱ、かっぱ、かっぱ・・・」とつぶやきながらトンネルをくぐると「・・・ぱかっぱかっ」と馬になって出てくるのですから、子どもたちはびっくりするやら喜ぶやら。
さぁ、次はどうなるかと、わくわくしながら、どんどん声も大きくなっていきます。トンネルから出てくるたびに子どもたちは盛り上がります。
みると、いつもは全く興味を示さなかった男の子が、一緒に声を出してにこにこ笑っていました。「ちゃんぶー」になったときには、友達と顔を見合わせて大笑い。「あぁ、あきやまただしさんの本の魅力ってすごい」と感動した瞬間でした。
後日、別の学年の読み聞かせに行ったとき、廊下で出会ったその男の子が「あ、おばちゃん。またあの本を読んでくれる?」と恥ずかしそうに声をかけてくれました。
絵本になじみが少ないお子さまにこそ、「絵本で遊び、楽しむことができる」この本をお勧めしたいと思います。
絵本って楽しいんです。