グリム童話にもいろいろあって、内容によってぴったりとくる絵と違和感を覚える絵があります。
その意味ではクーニーさんの選択は『ロバのおうじ』といい、『しらゆきべにばら』といい、選定がクーニーさんの画風にピッタリと合っていて素晴らしいと思います。
仲の良い姉妹のしらゆきとべにばら。
優しさと思いやりをもった献身的な姉妹です。
そんな二人と母親が暮らす貧乏な家をクマが訪ねてきます。
クマさんは王子様が魔法をかけられて姿を変えていたのです。
そんなことを知らない二人ですが、このクマは怖くないとわかると家族同然に親しくします。
話は、季節が変わりクマさんが去って行った後、悪い小人が登場。
小人を退治すると、魔法が解けてクマは王子様になるのです。
この本の前にバーナディット・ワッツの『雪ばら紅ばら』を読みました。
同じ話です。
ワッツさんの絵もとてもよくて、それぞれの特徴が感じられました。
ワッツさんはメルヘン、クーニーさんはロマンス。
ワッツさんのクマはぬいぐるみのような感じ、クーニーさんのクマは本当のクマ。
ワッツさんの雪ばら紅ばらの姉妹は子どもっぽいけれど、クーニーさんのしらゆきべにばらは思春期の少女。
ワッツさんの話の方が、王子様と結婚するまでに年月がかかったのだと思います。
ところで、雪ばらなのかしらゆきなのか、“Snow White”を訳したときにどちらが良いのでしょうか?
ばら姉妹の方がしっくりくるのですが。