私は幼い頃に母が消滅しました。生きているのですからおばけになって会いにきてくれるわけがありません。
私が次に会ったのは18歳の時、兄弟に誘われて顔を合わせ、挨拶程度の会話をしたら「長年一緒にいなかった人は例え母親でも家族ではないのだ」と感じ、別れました。
次に会ったのは25歳。わたしには子どもがいました。もうすぐ死ぬというお知らせでした。たまたまそのお知らせのあった病院がわたしの住んでいたところから近く、子どもと私で行った時に彼女は息をひきとることとなりました。
私の子どもは冷たくなる人間、冷凍された人間、焼かれて骨になった人間の姿をこの目で見ました。
幼い我が子は何度も目を背けていました。
その後、私の子どもはYouTubeでこの絵本と出会いました。それから「あのひと、おばけになってあいにくるの?こわい」と不安そうでした。私にとって母親でも、我が子は死んだことしか知らない、未知の人間なのです。
でも「ママがおばけになってあいにくる」と信じてしまいました。私のママはママではないから大丈夫と伝える難しさ。そんな家庭もあります。どうか、簡単に死を扱わないでいただきたいです。