なんとも挑発的な絵本です。
まるの王様を競いながら、最後には自分のまるを書いてみろと宣うのです。
しかも奇抜で不思議な感覚で展開する絵に、登場する物たちを受けとめられるのはその時代を生きてきた大人たちのような気がします。
レコードにビリヤード、小学校時代の運動会の玉転がし競走、円周率にコンパス…。
瞬時に共感できてしまいました。
まるの王様を自負するお皿が登場して、2ページにして割れてしまいます。
次に登場するシンバルはタイヤに轢かれてしまいます。
いろんなまるが登場するけれど、大きいばかりで、次第にデコボコ感が見えてくるのはなぜでしょう。
谷川俊太郎さんは、完全無欠なまるを目指してはいなかったのです。
地球だって太陽だって、遠くから見ればまるだけど、実際はデコボコじゃないかと言いたいのです。
多少デコボコでもいいから、自分自身のまるを書いてみろと、最後に登場するの毛筆で一気に書かれた、つながらないまるでした。
その勢いに圧倒されました。
忘れていけないのは、そのまるをかけるのは自分自身です。
やってみようと思う人の中に、まるは存在します。