暗示のような、ナンセンスのような、でも絵の迫力でお話を陳腐にさせないあたりはさすがスズキコージさんの作品、不気味な世界観が漂っています。
意味が分からないって怖いですよね。
きゅうりさんがマイペースに淡々と武装していく姿は
何がしたいのかまったく分からない格好。
目がねやエプロンやローラースケートや毛皮の帽子を
身に着けたって、役に立つのか?と思いますよね。
ストーリーの最後は、思いもよらぬどんでん返し。襲いかかろうとするねずみにきゅうりさんが反撃するようなシーンを想像していましたが、ねずみはきゅうりを見た途端「怖い!」と言って逃げ出すのです。それをきゅうりは追いかけ回す。
たしかに狂気を感じさせるほどのヘンテコリンな武装は
怖いです。立場逆転。手負いの獅子ばりにきゅうりさんは最初から天敵のねずみに果敢に襲いかかります。よっぽどうらみ骨髄だったのでしょうか。
私は猟奇的な事件の多い最近の世相を暗喩しているようにも感じました。
意味の分からない事件。
ある日突然おとなしかった少年が暴挙に出る。
しかし実は突然ではなく、少年はインターネットで武器を購入し、いじめっ子に仕返しをするタイミングを虎視眈々と狙っていた…。みたいなのを感じさせませんか。考えすぎかな。
もうすぐ2歳の娘も、気になるのか何度も読んでとせがみます。神妙な顔して聞いているので面白いですよ。