ハラハラドキドキの「あらしのよるに」シリーズの最終巻。
それにしても、あらしのよるにたまたま出会ったヤギとオオカミがこれほどまでに、数々のドラマチックなエピソードを演じることに、きむらゆういちさんの構成力の素晴らしさを感じました。
ガブとメイの秘密の交際が仲間たちにばれてから、逃げて逃げて、逃げ切れなくなったと思ったガブは仲間のオオカミたちに戦いを挑んで…。
雪崩に埋もれたのが前巻の『ふぶきのあした』。
そのラストシーンを思い起こす書き出しと、夢だったと思うメイの姿。
そこから記憶を失ったガブの登場は予想だにできませんでした。
記憶を読み戻すシーンにシリーズの全巻が振り返られます。
大団円。
でもオオカミとヤギであることに変わりはないのだから、常に危険と隣り合わせでいるところに、二人の友情が深められていくのでしょう。
ハッピーエンドですが、余韻がこれほど残る絵本はあまり知りません。