何度読んでも不思議な話で、私には不思議な魅力のある本でした。一体、あのあおむしの正体って何なんでしょうね... 題名からでは想像もつかないほどの『くいしんぼう』で、こんなことが実際に起こったら、本当に怖い!の一言につきます。でも、それを、あえて怖さを感じさせないのは、ストーリーも絵も同じ作者である槙さんが手がけているおかげなのかもしれません。
この話の中で、なかなか人間の心理を突いているなぁと思うのが、あおむしが、友達のまさおだけは食べないことです。お腹が空いてしまうと、もう何も見えなくてなってしまう、あおむしがです。「でも、まさおくんだけは たべなかったよ。だって ぼくたち ともだちだもんね。」と言って.... でも、ふと考えると、この言葉ほど怖いものってないんですよね。
大人が、難しく社会的にこの話を読めば、このあおむしが体現するものって、人間の欲望だったり、経済発展だったりと色々あてはまる答えがでてくると思います。でも、絵本ですから、単に、不思議なストーリーを楽しむということだって、出来るのです。そういう意味で、スタンダードがいくつもあり、読む年代によって楽しみ方が変えられるこの話は、すごいなと思います。
私には、最後の終わり方がとてもモヤモヤ感が残り、でも、相反しますが、逆に不安からは解放されたスッキリ感もあり、こういう終わり方がとても余韻を残していいなと思いました。是非、お読みになって、不思議な世界へ浸ってみてください。シンプルに楽しむのなら、やんちゃな男の子におすすめな話です。