『ドリトル先生のキャラバン』にも登場するカナリアのピピネラの数奇な運命をたどる物語です。
正に生々流転の運命で、これほどまでに飼い主によって、運命が様変わりするカナリアはピピネラぐらいなものでしょう。
中でも引きつけられるエピソードは、ピピネラが一番のお気に入りの飼い主であった窓ふき屋の人生です。
この窓ふき屋の人生もまた生々流転だと思いました。
ドリトル先生も続けて読んでくると、時代の流れなのでしょうか。
戦争の影、政府のことなど、執筆背景にあったものがおぼろげながら浮かび上がってくる気がしました。
このシリーズも残すところ後一冊となりました。
息子の意見では、今度は少年文庫ではなくハードカバーの方を一巻から読み聞かせし直してほしいということです。
動物学者というと息子の中ではドリトル先生。
私が転びそうになった時には
「お母さんの今の格好は、ドリトル先生と窓ふき屋(ステファン)がドアにがーんとぶつかるところみたいだった」
と、生活の中でもドリトル先生がらみのことがよく出てきます。
これは、同じ作品を一緒に読んできたならではの親子の会話のように思えます。
私にとっても息子にとってもこのシリーズは忘れられないシリーズとなりそうです。