初版は1928年の作品。
邦訳は1978年に岩波書店で初版されましたが重版未定の状況で、2010年度に瑞雲社が復刊したものです。
因みに、この瑞雲社は、あの岩波書店の「ちびくろ・さんぼ」を復刊したことで知られています。
他の絵本の作者紹介に、ワンダ・カアグに影響を受けたと書かれているのを良く目にしたので、楽しみに読みました。
原題は、「The Funny Thing」。
これで、へんなどうつぶという邦訳はやはり違和感があります。
物語は、山奥の設定で、優しいボボじいさんが、鳥や動物たちの餌を用意して待っているというところから始まります。
そこに現れたのが、どうつぶ。
どうつぶは、人形を食料にしていると言うのです。
ボボじいさんは、一案をこうじて、人形を食べられないようにするため、青いとげが立派になりしっぽが長くなる「ジャム・ジル」を作ってあげると嘘をつくのです。
その架空の話は、なぜか現実となり、どうつぶは、人形を食べなくなり、「ジャム・ジル」のおかげでしっぽが長くなって終わります。
しっぽが長くなり、自由に動けなくなったどうつぶは、果たして幸せだったのか?
本人は満足しているようですが、このエンディングで良かったのか?
読まれた方全てが納得できるものではない気がします。
とは言え、80年以上も前に、世にこのような絵本が発刊されたということは、驚愕の事実であって、賞賛に値するものだと思います。
そんな観点も持って、読み聞かせして欲しい作品です。