マーガレット・ワイズ・ブラウンの1954年の作品で、コールデコット賞オナー賞受賞作品。
邦訳は2010年。
実に56年の時を経て読んだのですが、作今、こうした古典的名作を邦訳するケースが増えてきているのは、本当の好ましいことだと思っています。
絵を描いたティボル・ゲルゲイの作品は初めて見ましたが、丸みを帯びた実に優しいタッチの絵。
ワイズ・ブラウンの文に相応しいと言えるでしょう。
原題は「Wheel on the chimney」
コウノトリは幸せを運ぶ鳥として崇められていて、煙突に荷車の車輪を結わえ付け、コウノトリに巣を作ってもらうことに由来しています。
どうも舞台になっているのは、ハンガリー。
コウノトリのつがいが、煙突の上の車輪に巣を作るシーンから物語は始まります。
子供が生まれ秋になると、まとまって暖かいアフリカを目指します。
途中、フラミンゴの大群との遭遇があるのですが、その描写は凄いの一言。
もっと、大判の絵本で見たいところです。
そして、北の国に春が訪れる頃に、また、コウノトリは群れをなして戻るというストーリーです。
旅の途中には様々な伏線があって、楽しめる場面は多いと思います。
でも感じて欲しいのは、自然の営みの素晴らしさといったところでしょうか。
ワイズ・ブラウンの作品は、決して派手ではないのですが、心に染み入るものがあります。
この作品もそうした一連の一つ。
文章量が多いので、小学校低学年の子供が自分で読むのが向いているかも知れません。
良書としてオススメします。