プログで紹介されている方がいらしたので、興味を持ちました。
「しずかなよるに ふうわり おっとり」で始まる書き出しが、誌的で雪の降る情感を静かに伝えています。
雪の日は、すべての物、汚い物までも白く輝く世界に変えてしまう特別な日。五感に染みわたるような寒さと冷たさ。雪の匂いを感じるお百姓さん、つまさきが痛いと感じるおまわりさんの奥さん。それぞれが、それぞれの感覚で雪を感じます。
子どもの時は、雪遊びができるとてもラッキーな日。大人になってからは、電車が遅れたりすべったりと厄介な日。子どもがいる日の雪は、子どもと一緒に雪で遊べる楽しい日と、雪への感情が、私の中でも変わってきました。
読みながら、雪の日もいいな(これは雪深くない平野に育った私だからだと思いますが)。
でも、暖かくなった春の日もいいなとも思いました。
読者一人一人が雪への思いを馳せる本だと思います。
ただ、おもしろ系の息子には、この誌的で繊細な描写はうけませんでした。
子どもと一緒ではなく、子どもが寝静まった夜に一人でゆっくり大人が読むのに適している本かもしれないと思います。日常の喧騒を忘れ、静かな気持ちになれました。
コールデコット賞受賞作品です。