昔々、あるところにじいさまとばあさまがありました。たいそうな貧乏暮らしで、もうすぐ年越しというのに、もちの用意もできていません。そこで、夏の間に刈り取っておいた菅を編んで菅笠を作り、町に売りに行くことにしました…。
おなじみ、お地蔵さまに笠をかぶせた優しいおじいさんのお話です。文章に出てくる「かさこ」「もちこ」は、「かさ」「もち」にそれぞれ「こ」をつけた言い方のようです。同じ昔話では他にも絵本が出ていますが、私は、この絵本を手にした時、他の本とは違う魅力に引き込まれました。文章がとても丁寧で、絵もとても優しく、全編通して人肌のぬくもりのような温かさが伝わってくるものだったからです。素敵な絵本です。このシリーズ本(むかしむかし絵本)の最後には、『もうひとつの民話』がおまけに書かれています。かさこじぞうの最後には「ものいうかめ」というお話が添えられていました。こちらも、うちの子たちには好評でした。