結婚して子どもができて、この本を読み直しました。ハッとさせられました。ずっと誰かのねこだった主人公が、のらねこになったときの描写に。「ねこははじめて自分のねこになりました。ねこは自分がだいすきでした。」
誰のねこでもなくなって初めて、自分の人生を謳歌できるようになったねこ。そして白いねこと出会い、愛にめざめ、生と死を知ることになります。
この本の主人公はほかでもないこのねこ。けれども結婚・出産を経た私には、白いねこの立場が胸に残りました。ねこの夫婦は子どももできて仲睦まじく暮らしているけれど、ずっと誰かに所有されていたねこと同じように、白いねこも夫に所有されていると言えはしないだろうか、と。
天国で、誰のねこでもなくなった白いねこは、今ごろ自分の本当の人生を謳歌しているのかもしれません。