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命をゆずっていただく
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投稿日:2020/09/05 |
安価で流通している牛乳を得るために、牛に背負わせているたくさんの苦しみや負荷を知った。
自然放牧ではない牛は、狭い牛舎で飼育されるため、運動不足は避けられず短命になってしまう。人工飼料を与えられるのも短命の原因になる。
乳製品の原材料が牛であると考える発想からは、牛は原料の元でしかなく、そこに生命の尊厳という気持ちは失われてしまう。
山地酪農という方法で、牛に負荷をかけずに生きる中洞さんの生き方は、考えさせられるものばかりだった。
乳脂肪分が、3.5%にならないと買い取り額が半値になってしまう点も驚きだった。
山地酪農を日本で継続していくことの難しさを、中洞さんが克服していく姿にも、頭が下がった。
自然の中で生きる牛たちの自然で美しい姿にも心打たれた。
いつか、中洞さんの牧場の牛に会ってみたいな。しあわせな牛乳を飲んでみたいな。
どんな生物も人間と同じ地平で生きている。根源的なことに気づかせてくれた一冊だった。
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生き方にしびれた!
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投稿日:2020/09/02 |
なんてかっこいいのだろう。なんてしびれる生き方。そして、言葉が素晴らしい。
特に、「わたしは、だれの話にも耳を傾けるが、だれの言い分でも聞きいれるわけじゃない。話を聞くのはかまわないが、それをすべて認めちゃいけない。そんなことをしていたら、自分らしさはなくなり、相手と似たような人間になってしまうだろう。勢いこんで話してくる人を喜ばせ、それでも、決して自分を見失わずにいるには、けっこう頭を使うものだ」は、部屋の壁に貼っておきたいような私にとっての金言。
ああ、かっこいい。大人とはかくありたい。
一人の人間のできることなんて、しれていると落ち込んでしまった夜には読み返したい。
本を誰かに手渡すことに、疲れた時には、この本を思い出そう。
ああ、本っていいなあ。私も静かに闘おう。
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母が亡くなる辛さ
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投稿日:2020/07/28 |
気持ちを丁寧に描く作家さんだと思った。多感な時期に母親を亡くすのは辛い。
肉親の誰を亡くしても、しばらくはその喪失感から逃れることはできないが、母親は日常生活のすべてに関わっている存在なので、食事や四季の移ろいなどでも、寂しさが直結してしまう。
最後の景色の描写が美しくて涙してしまった。繊細で優しい作風なので、他の作品も読んでみたい。
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理由のない苦しさ
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投稿日:2020/07/16 |
子どもが育つ条件として、無条件の愛情という言葉がある。自分の子どもだけら愛せる。愛さなくてはいけないというのは、ある種呪縛のようなものかもしれないと思った。
読み終わってから、時間が経って、『白雪姫』の継母は実母だったという話を思い出した。昔話の時代なら、娘を愛せない母も愛子ほど苦しむこともなかったのでは。
人の心の中のすべての感情に、理由があるわけでもないのだろう。愛子は、自分が日和を愛せない理由を探ろうとするが、探れば探るほど苦しくなるように思った。自分の中に、理由のつかない感情が存在することの息苦しさではないだろうか。
重たい話だが、日和の周りに、桃吾・一喜・柚希など日和を暖かく見守る存在がいることに救われる。
家族のあり様は、一様ではなく、端から見たら不可思議なこともあるように思う。
心ざわつく話だが、不思議にこの家族の決着のつけ方には納得ができた。
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大人も読むべし
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投稿日:2020/07/14 |
冒頭の「朝日が差しこむ六年一組の教室で、十一月の肌寒い秋風がカーテンをゆらした」の一文で、心は物語の中へすぐに入ってしまった。
毎日、毎日、児童文学を読んでいるが、今日本の児童文学どんなことになっているのだろうと思うぐらい秀作が多い。
この作品も、構成や登場人物の感情の描き方、登場人物の配置など、うーんとうなるほど、上手い。
特に、泣けたのは5章の「PTA運営委員会」の滝川祥子の話だ。
自分の子どもは悪くない、だがそれを皆がわかるように伝えるのは難しい。でも言わずにはおれない。そんな場面は、保護者であるなら、少なからず経験する場面だ。
思ったことを口にするということは、普段感情を抑えて調整をとろうとする生き方を選んできた人には苦痛である。自分のことなら、どんなことでも耐えられても、我が子がおかれている立場や気持ちを思ったら、そんなことも言ってはいられない。親の気持ちが痛切に伝わってきた。
物語は、大繩大会の練習時にベテラン教師がかけた不適切な言動が発端となり、それぞれの登場人物の受け止め方の違いや人物像・家庭環境が、浮き彫りになっていく。
この物語に出てくる子どもたちは、とても賢く勇気がある。子どもの時に、大人になっていく軸は育っていくのだなと改めて思った。
子どもの頃に、『飛ぶ教室』を読んで、大人になっても子どもの頃の気持ちを忘れない大人になろうと思ったことを思い出す。児童文学を侮ることなかれ。大人も読むべしなのだ。
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子どもだけに任せておいていいこと?
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投稿日:2020/07/12 |
3年ほど前から急速に外国人児童が増えはじめ、今や1クラスほどは外国人がいるいう状況の小学校を知っている。
その小学校では、主にブラジルからの転入生だが、日本語がわからずに1日の半分を学校で過ごす児童は、この本に出てくるアブダラくんのような気持ちなのだろうと思う。
月または週に何回か母語を話せるコーディネーターがやっていきたとしても、自分が今いる環境下で暮らしていくしかない。最初の1週間ぐらいは、興味津々で外国人児童の周りに集まってくる日本人の子どもたちも、そのうちに興味を失い、日本語がわからないからという理由で周りから去っていってしまう。
多文化共生と言われるようになって久しいが、いざ震災が起きたり現在のようなコロナ禍で取り残されるのも、外国人。
読みながらいろいろなことを考えさせられた。児童書だが、大人にも読んでほしい内容である。
子どもだけに解決を任せておいていい問題ではないと思う。まずは、異文化への理解から始めたい。
今、日本は日本人にとっても住みやすい優しい社会とは言いづらい。移住してきた人たちにとっても優しい社会であること、それを考えるのが大人の仕事なのだと思う。
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笑いあり涙あり
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投稿日:2020/07/03 |
勘違いで、職場体験先に保育園を選んだ楓汰の悲喜こもごもである。
出だしは、『ケイゾウさんは、四月がきらいです』と『君が夏を走らせる』がミックスしたような感じで笑いを誘う場面があった。
しかしである。現在の保育園及び子どもたちの社会は、そのような笑いで満ち溢れている社会ではない。そのことを、痛切に感じたうえで、いとうみくは次々と作品を世に送り出してくれているのだと思う。
『糸子の体重計』からその萌芽はあり、読者の心に波紋を起こさせる。
最後は、涙でいっぱいになっていた。しおん君のような子どもは今実際にごく身近で暮らしている。そして、風汰のような中学生もいる。
その二人が、偶然であっても関わりを持つことができたのであれば、職場体験も悪くはない。
そして、子どもの成長は評価や数値で測ることができるものではないということも、大人である私に再認識させてくれた。
どうか、どうか子どもたちが子どもたちが安全に幸せに育つことができる世の中であるますように!、そのことを切に願う。
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これがデビュー作
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投稿日:2020/06/30 |
息をつかせぬ展開とは正にこの作品のような作品を指すのだろう。
祖父のルバーブを盗まれた主人公が、物々交換で取り戻す資金を得ていく。「わらしべ長者」を彷彿とさせる展開だが、それだけではない。
作品に出でくるワード「難民」「アフガニスタン」「タリバン」と3つ並んだところで、主人公の少年の現在の境遇や歩んでいきた道のりが透かして見えてくる。
途中で、作者のことを知りたくなり、作者紹介を読んだら、これがデビュー作だということで、そのことにも驚いた。
悲しみを経験したことがある者は、人の悲しみにも敏感であることが多い。悪役も出てくるが、良き仲間や助けてくれる人たちの援助の仕方のさりげなさに心が熱くなる。
そうか、同時多発テロから18年なんだなと改めて思った。その年に生まれた息子が18歳である。
現在、コロナ禍が続く中、子どもたちだけでなく大人もこの作品から元気や勇気をもらうのではないかと思う。
鈴木出版さん ありがとう。
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こんなことがあっていいはずがない!
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投稿日:2020/06/28 |
戦争に赴かざるを得なかった二人の若い兵士の物語である。
戦争の最前線で真っ先に死にさらされるのは、階級の低い兵士だった。彼らの多くは、家族のそばにいたかったし、大切な家族を戦争から守りたかったからこそ、戦地に行ったのだ。
戦時下、冷酷な者は平時以上に冷酷になる。優しい人は、平時以上に優しくふるまう。人としてのこの差はなんだろう。
人の命はその人だけのものではなく、
家族や亡くなった人と縁がありつながっていた人のものでもある。
心の中で大事なものが壊れてしまうのだ。
戦争においては、明確に敵の国と味方の国という明確な区切りがあるはずだが、上官に逆らったり、意に添わない動きをすれば制裁を受けてしまう。
なんだ、これは。
戦争ってそもそもなんなんだ。
こんなことがあっていいはずがない。こんなことが許されてはいけない。読み終わってから、すぐさまPCに向かい泣きながらレビューを書いている。
モーパーゴが書かずにはいられなかった気持ちがよくわかる。
怒りと祈りが伝わってくる作品だ。
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難しい問題
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投稿日:2020/06/25 |
このおばあちゃんの症状は、脳血管性認知症なのかなと思った。
私の亡くなった母が脳梗塞の後、感情のコントロールができなくなったり、物取られ妄想があったりと、娘としてかなり苦しんだ経験があるからだ。
幸いにも私は当時カウンセリングを勉強していたので、先生や先輩たちに精神的に助けてもらった。
児童書としては、最初からかなり重たい内容だった。主人公のあかりが小学生でありながら、奮闘している姿が健気に思えた。
今の児童書には、昔に比べてかなりハードな内容が盛り込まれている。子どもたちに介護の現状を知らせるということよりも、このような環境に育つ子どもたちに、「悩んでいるのはあなただけではないよ」というメッセージが作者から送られているような感じを受けた。
まずは、大人がしっかりと考えるべき問題だと思うが、悩んでいる子どもたちに何らかの形で届くといいな。
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