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赤いダンス靴をはいて教会へいった少女がたどる哀しくふしぎな運命。アンデルセン童話の幻想性豊かな世界が、美しく描かれています。
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赤い靴がどうしていけないのだろう。
いわさきちひろさんの透明感のある絵は、カレンの純粋な心を表現しています。
しんせつな靴屋のおかみさんが作ってくれた赤い靴。
それを履いたのが、母親のお葬式だったというのがとても意味深いのです。
教会には赤い靴を履いていってはいけない。
いわれればその通りですが、カレンは赤い靴に魔法をかけられてしまいました。
それは、まるで覚せい剤のようにとても恐ろしい世界。
赤い靴に踊らされて、みなしごとなったカレンを育ててくれた恩人の奥さまを見殺しにしています。
悲しくてならないのに、カレンは魅せられたように踊り続けます。
そして自分を取り戻すために自分の足を切り落としてもらいます。
カレンにこれほどの罪を感じないのですが、教会の決まりごとを守らぬ恐ろしさなのでしょうか。
カレンは許されて天国に召されます。
それにしても後味の悪さを感じた絵本でした。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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