![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
小学6年生、越の一家は、妹つぐみの化学物質過敏症が治らないため、埼玉県から富士山の見える山梨県に引っ越す。都会から南アルプスのふもとへと大きく環境が変わった越は、複雑な思いで地元の中学校に通う。母親は、地元の食材を使った自然食の食堂をオープンさせるが、この地域の有力者からいやがらせにあい、お店もなかなか軌道に乗らない。埼玉時代の親友、直登から夏期講習にさそわれた越は、同じ中学に通う結衣と塾のセミナーに参加するも、つぐみがマムシにかまれたという緊急の連絡が入り、急きょ家にもどる。著者の実体験をもとに書かれたある一家の再生の物語。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
化学物質過敏症とはどのようなものなのでしょう。世の中には様々なアレルギー症を持つ人がいて、大変に神経を使い苦労している人がいるのは知っていますが、そのために環境の良い所に移り住みというのはすごい決断です。
その上心機一転レストランを始めることにしたものの、村という閉鎖社会では簡単に受け入れてもらえません。
これだけ重いテーマを抱えながら、この小説は爽やかです。
それは、都会から移り住んだ少年の新鮮な気持ちと、少年時代という純粋な視点で描かれているからでしょう。
ちょっとしたドラマの後で、どことなく心地よく終わるお話の展開に、重い要素は薄らいでしまいました。
きっとこれからの大変さを語る前に、余韻を残して終らせたのです。
でも、これからも進んでいけそうな、あっけなさではありました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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