化学物質過敏症とはどのようなものなのでしょう。世の中には様々なアレルギー症を持つ人がいて、大変に神経を使い苦労している人がいるのは知っていますが、そのために環境の良い所に移り住みというのはすごい決断です。
その上心機一転レストランを始めることにしたものの、村という閉鎖社会では簡単に受け入れてもらえません。
これだけ重いテーマを抱えながら、この小説は爽やかです。
それは、都会から移り住んだ少年の新鮮な気持ちと、少年時代という純粋な視点で描かれているからでしょう。
ちょっとしたドラマの後で、どことなく心地よく終わるお話の展開に、重い要素は薄らいでしまいました。
きっとこれからの大変さを語る前に、余韻を残して終らせたのです。
でも、これからも進んでいけそうな、あっけなさではありました。